朴葉巻き(朴葉餅)の作り方をご紹介します。
朴葉巻き(朴葉餅)とは、長野県や岐阜県の郷土料理の一つで、あんこを入れたお餅を朴葉で巻き、蒸して作った和菓子です。
長野の木曽地方では「朴葉巻き」、その西側の岐阜の飛騨地方や東濃地方では「朴葉餅」と呼ばれて親しまれています。
お餅とあんこに関しては、全国的にもよく食べられているスタンダードな味ですが、朴葉で包んでから蒸すことで、生朴葉特有の清涼感のある風味が加わって、味わい深く仕上がります。
また、保存性が高いのも特徴の一つです。
朴葉には殺菌効果があるので、エアコンや冷蔵庫などがない時代にはとても便利だったと思います。
さて、今回お伝えするのは、冷めても柔らかい朴葉餅のレシピです。
白玉粉と上新粉を同量ずつ使って、もっちりとした食感に仕上げます。
材料
生朴葉 | 6枚 |
上新粉 | 75g |
白玉粉 | 75g |
砂糖 | 15g |
水 | 120ml |
あんこ | 120g |
サラダ油 | 適量 |
朴葉について
朴葉というのは、朴の木の葉っぱです。
朴の木は、高いものは30メートルにも及ぶ大木で、葉は、長さ30〜40センチととても大きいです。

枯れてしまった朴葉には風味はありませんし、冷凍した朴葉では、エグミが出て美味しく仕上がりません。
ぜひ、柔らかい生朴葉を使ってみてください。
朴葉の収穫時期は、5月下旬〜6月頃です。
この時期に長野や岐阜の山間部に行けば、スーパーや道の駅で生の朴葉を購入できます。
また、値段は高めですが、ネットでも買うことができます。
朴葉巻き(朴葉餅)の作り方
それでは、朴葉巻き(朴葉餅)の作り方をお伝えします。

まず、あんこ(120g)を6等分して、それぞれを平たい円形にととのえます。
平たい形にしておくと、生地で包みやすくなります。
参考:あんこの作り方

朴葉(6枚)は、きれいに洗い、キッチンペーパーなどで水気をしっかりと拭き取ります。

そして、別のキッチンペーパーにサラダ油(適量)を染み込ませ、朴葉の表面に薄く塗ります。
朴葉に油を薄く塗る
朴葉にサラダ油を薄くのばしておくと、餅が葉っぱにくっつきにくくなるので、食べる時に取り出しやすくなります。

次に、上新粉(75g)と白玉粉(75g)と砂糖(15g)をボールに入れ、水(120ml)の8割くらいの量を加えて、ヘラを使って全体をざっくりと混ぜます。
白玉粉を混ぜる
上新粉(うるち米粉)だけを使うと食感が硬くなりがちですが、白玉粉(もち粉)を混ぜると、冷めても柔らかい朴葉餅が作れます。
生地は水でこねる
上新粉をこねる際には、一般的には熱湯を使います。
でんぷんの一部を糊化させて、粘りを出してまとめやすくするためです。
一方で、白玉粉はもともと粘りが出やすいため、お湯を使わずに水でこねることが多いです。
今回のレシピでは上新粉と白玉粉を同量ブレンドしていますが、水でこねても、十分に粘りが出ます。
ちなみに、熱湯やぬるま湯を使ってこねたとしても、仕上がりの違いはほとんどありません。

全体を混ぜたら、残りの水を少しずつ加え、なめらかになるまで手でこねて、生地をまとめます。
使用する水の量は、120mlくらいでだいたいちょうどいいです。
ただ、「使用する粉の質」や「その日の湿度」などによっても若干変わってくるので、生地が滑らかになって耳たぶくらいの硬さにまとまったら、水が少し残っていたとしても問題ありません。
逆に、生地がまとまらないようなら、水を少し足してください。

次に、生地を6等分して、1個分を手で丸め、手のひらでおさえて平たい円形にします。

そして、「指」もしくは「親指の下あたりの手のひら」を使って、生地の外側を薄くのばします。

生地をのばしたら、あんこを中心部にのせて包みます。

あんこが見えなくなるように包んだら、丸い形に整えます。

朴葉餅の包み方
続いて、お餅を朴葉で巻きます。
まず、朴葉の一番幅が広いあたりに餅を置き、葉脈を中心に両サイドを折りたたみます。
- 手前側を押さえる
- 折りたたむ
そして、餅の手前を指でおさえ、葉先を折りたたみます。
- 奥側を押さえる
- ひっくり返す
続いて、餅の向こう側を指でおさえ、餅を奥に向かってひっくり返します。

そして、葉の茎が付いた方をオモテに向けて、葉脈の間を楊枝で止めます。
葉脈の脇から楊枝を刺して、下側の葉にも通し、葉脈の両端を止めると、葉っぱが剥がれにくくなります。
楊枝の代わりに、いぐさなどの紐で縛ってもOKです。
葉を餅に密着させて蒸す
ここで、楊枝や紐でしっかり止める作業は意外と大切です。
蒸している間に葉が剥がれてしまうと、せっかくの朴葉の風味が餅に付きにくくなるためです。
朴葉巻き(朴葉餅)は、葉を餅にぴったり密着させたうえで、一緒に蒸すことで、風味よく仕上がります。
枝ごと使う場合も包み方は同じ
ちなみに、長野や岐阜の伝統的な朴葉巻き(朴葉餅)の場合、葉一枚一枚を切り離してから包むのではなく、枝に付いたままの状態で使うことが多いです。


お餅を朴葉で包んだら、蒸気が上がった蒸し器に並べ、フタをして15分ほど蒸します。
写真ではせいろを使っていますが、普通の蒸し器でも問題なく使えます。
蒸し時間は15分がおすすめ
朴葉餅を蒸す時間は、15分くらいが一番おすすめです。
蒸す時間が短いと、朴葉の風味が十分に移りませんし、生地の中まで火が通らない場合もあります。
逆に、あまり長く蒸し過ぎても、朴葉の風味が弱まるように思います。

こちらが蒸し上がりです。
蒸しあがった朴葉餅は粗熱をとればすぐに食べられますが、3時間〜半日ほど置くと、朴葉の香りがしっかりと移ってより美味しくなります。
また、少し置くことで取り出しやすさもアップします。
冷めても柔らかい生地になっていますので、アツアツのまま開けると餅が葉っぱに少しくっつきやすいですけど、時間が経ってからだと簡単にはがれます。
朴葉餅の保存方法
なお、この朴葉餅は、冷めても柔らかさをキープできるように仕上げているとは言え、やはり、長時間置くと次第にかたくなってしまいます。
ですから、作ってから半日あたりで食べ切るのが一番おすすめです。
もし食べ切れない場合は、ラップでぴったりと包んで冷蔵庫に入れれば、3〜4日は日持ちします。
食べる時は、レンジの「温めモード」で加熱すれば、もとの柔らかい食感に戻ります。

「お餅」と「あんこ」の組み合わせは、やはり安定の美味しさです。
上新粉と白玉粉をブレンドした生地はもっちりとしていて柔らかく、あんこのしっかりとした存在感を優しく包み込んでくれます。
それだけでも既に十分美味しいのですが、さらに、清涼感のある朴葉の香りが適度に加わることで、風味が大幅にアップして、より奥行きのある味に仕上がります。
わらぶき屋根の日本家屋の縁側で、熱いお茶をすすりながら、のんびりと食べたい一品です。
見た目にも趣があるので、目と舌の両方で楽しめますよ。
岐阜と長野の朴葉餅
続いて、岐阜県で食べられている朴葉餅について、少しご紹介します。

こちらは、岐阜県中津川市にある和菓子屋さんの朴葉餅です。
市販の朴葉餅には冷凍朴葉を使ったものもありますが、こちらのお店では、旬の生朴葉だけを使って、風味良く仕上げています。
なお、お店で売られている朴葉餅といえば、上の写真のように、枝付きで4〜5個一緒に付いているものがポピュラーです。
でも、朴の木は大木だということもあり、朴葉を枝ごと取ってくる作業はけっこう大変らしいです。
家庭では、こうした枝付きの朴葉を入手するのは少しハードルが高いですけど、朴葉餅が枝にぶらさがっている姿は、やはり風情があります。

和菓子店「松葉」の朴葉餅
@岐阜県中津川市

こちらは、長野県の木曽福島の「朴葉巻き」です。
岐阜県内の「朴葉餅」が作られているエリアと、長野県内の「朴葉巻き」が作られているエリアは、県が分かれているとは言え、繋がったひと続きの山間部です。
そのため、朴葉餅と朴葉巻きは、見た目も作り方もほぼ同じです。
餅の中にはあんこを入れるのが定番ですが、白味噌あんを使っていたり、また、生地にそば粉を入れて作ることもあるようです。
道の駅 木曽福島の朴葉巻き
@長野県木曽郡
朴葉の使い方
最後に、朴葉餅を作ったあとに余った、生の朴葉の使い道をご紹介します。
生の朴葉が残ったら「朴葉寿司」を作るのがおすすめです。
朴葉寿司は、朴葉餅が昔からよく食べられてきたエリアで作られてきたお寿司ですけど、現在では、長野県と言うよりも、岐阜県内でよく食べられています。
朴葉餅と同じように、朴葉の爽やかな風味がお寿司にほんのりと移って、とても美味しくいただけます。
ちなみに、生葉ではなく、乾燥した朴葉の使い道としては、「朴葉味噌」が定番です。
「朴葉味噌」は、岐阜県の飛騨地方などの山間部に伝わる郷土料理で、乾燥させた朴葉の上に甘辛い味噌やねぎ、きのこなどをのせて焼いたお料理です。
こちらは、ご飯との相性がとてもいいですよ。
以上、長野と岐阜の郷土料理、朴葉巻き(朴葉餅)についてお伝えしました。
お餅を朴葉で包んで蒸すことで、朴葉の風味がほんのりと移り、とても美味しくいただけます。
生の朴葉が手に入ったら、ぜひお試しください。
ところで当サイトでは、岐阜の郷土料理について、別記事で詳しく解説しています。
次の記事もあわせて参考にしてください。
このお料理についてのご感想などをお寄せください。
サイト運営の参考にさせていただきます。
頂いたコメントには、数日中に回答いたします。
なお、頂いたコメントは、運営者による承認後に表示されます。(詳細)