朴葉味噌のレシピをご紹介します。
朴葉味噌とは、朴の木の葉をフライパン兼お皿の代わりにした「朴葉焼き」の一種。
飛騨高山の郷土料理で、朴葉に味噌を薄く塗り、ねぎなどの具材を乗せて、こんがりと焼いて作ります。
朴葉味噌の原点
朴葉味噌(朴葉焼き)は、もともとは、寒い冬場に食べ物を簡単に温めるための調理法でした。
朴葉は冬になると木から落ちてしまいますが、その葉を乾燥させて、調理器具として使ったのがはじまりです。
昔ながらの朴葉味噌をひとことで言うと、手軽に作れるねぎ味噌。
現在では、名物の飛騨牛や鶏肉などのお肉を加えるお店も多いですけど、伝統的な朴葉味噌は、ねぎだけ、もしくは、ねぎにきのこが加わる程度と、とてもシンプルです。
乾燥朴葉も生朴葉も使える
朴葉味噌と言えば、乾燥させた朴葉(枯れ朴葉)で作るのが定番です。
でも実際は、生の朴葉で作ることもできます。
ただし、乾燥と生、いずれを使っても、朴葉の香りが味噌に移ることはありません。
朴葉特有の爽やかな香りを楽しむ料理と言えば、「朴葉巻き(朴葉餅)」や「朴葉寿司」がとても人気がありますが、「朴葉味噌」は、あくまでも、朴の葉っぱを便利に活用するお料理です。
とは言え、見た目にとても風情があるので、目と舌の両方で、昔ながらのお料理をぜひ堪能してください。
材料
朴葉(乾燥でも生でもOK) | 1枚 |
味噌 | 25g |
砂糖 | 小さじ2※ |
長ネギ | 1/2本(50g) |
好みのきのこ | 30g(椎茸で2個程度) |
※砂糖の量は、赤味噌を使う場合は小さじ2にして、白味噌を使う場合は小さじ1と1/2に変更する。
味噌について
使用する味噌の種類は、お好みです。
ただ、昔ながらの飛騨の味噌は、塩気を効かせた長期熟成の赤味噌が一般的でした。
中でも、米麹をつかった米味噌が一番の定番だったようですが、名古屋が近いこともあり、豆味噌が使われていた地域もあります。
作り方
ここからは、朴葉味噌の作り方を解説します。
乾燥朴葉を使った作り方をメインにお伝えしますが、生朴葉でも作り方は同じです。
まず、乾燥朴葉を使う場合は、1時間ほど水にひたします。
燃えないように水につける
乾燥朴葉は、そのまま使うと燃えやすいので、燃えないように、あらかじめ水をしっかり吸わせておきます。
そして、水気を軽く拭き取ります。
生の朴葉を使う場合
生葉だったら、そのまま使っても燃えません。
次に、味噌(25g)と砂糖(小さじ2)をボールに入れ、よく混ぜます。
なお、上の分量は赤味噌専用となっていますので、白味噌(甘めの味噌)を使う場合は、砂糖の量を小さじ1と1/2に変更して作ってください。
長ネギ(1/2本:50g)は小口切りにして、きのこ(30g)は、火が通りやすいように、薄切りにするか細かくほぐしておきます。
きのこは、「椎茸」でも「しめじ」でも「舞茸」でも「えのき」でも何でもOK。
いずれのきのこを使う場合でも、短時間でさっと火が通るように、小さくしておきます。
なお、きのこ30gという量は、椎茸を使う場合は、2枚くらいの量に相当します。
コンロで朴葉味噌を作る場合は、焼き網をアルミホイルで包み、コンロの上にのせ、さらにその上に朴葉をのせます。
朴葉の下に敷くもの
焼き網も適当な皿もない場合は、フライパンやホットプレートの上に直にのせて焼くこともできます。
これらを使って焼く場合も、焼き方はまったく同じです。
そして、朴葉の中心部分に、混ぜておいた味噌を薄く塗ります。
味噌のフチ部分は、少しだけ厚めにしておきます。
味噌はフチを多めにする
味噌を朴葉に塗る際には、味噌のフチあたりを少し厚めにしておくのがコツです。
そうすると、具材を中心部分にのせたあとでも味噌の様子がよく見えるので、加熱具合を調整しやすくなります。
フライパンでも焼き方は同じ
また、生の朴葉を使う場合も同様です。
そして、下に塗った味噌が少し見えるように、味噌の上にきのこをのせます。
ネギよりもきのこの方が火が通りにくいので、きのこから先にのせていきます。
さらに、きのこの上に長ネギをかぶせて、弱火にかけます。
強い火にかけると、朴葉の葉先がすぐに乾燥して丸まったり、燃えやすくなったりするので、必ず弱火にかけてください。
しばらく加熱すると、味噌がフツフツとして少し焦げてきます。
味噌のフチを少し厚くして、なおかつ具材からはみ出た状態にしておくと、味噌が温まって焦げてくる様子がよく分かるので、調理がしやすいです。
フツフツとして少し焦げてきたら、きのこにもあらかた火が通っているので、全体をよく混ぜて、ネギにもさっと火を通します。
具材が混ぜにくい場合は、スプーンと菜箸を両手に持って一緒に使うとラクチンです。
味噌が具材によく馴染んだら完成です。
ねぎときのこだけを具材にしたシンプルなお料理ですが、加熱した味噌の香ばしさとともに、とても美味しくいただけます。
朴葉味噌の食べ方
朴葉味噌の食べ方といえば、やはり、ご飯と合わせるのが定番です。
深みのある味噌の風味に誘われて、パクパクと箸が進みます。
また、お酒のおつまみとしても優秀です。
朴葉味噌をつまみながら、日本酒や焼酎をちびちび飲むのもいいものです。
ちょっと変わった食べ方をしたいという場合は、朴葉味噌をたれやソースの代わりに使うのがおすすめです。
たとえば、豚しゃぶや湯豆腐のたれとして使ったり、茹でたじゃがいもや蒸し野菜にかけてもよく合います。
本場の朴葉味噌の味
なお、飛騨の飲食店で供されている朴葉味噌は、味噌をわりとたっぷり使っていて、塩気がしっかりめになっています。
朴葉味噌は元々はご飯のお供として作られていた「ねぎ味噌」のようなお料理だったため、今でもそのような味付けが主流になっているのだと思います。
このレシピは、味噌の量を本場よりも控えめにしていますが、それでも、ご飯なしで朴葉味噌だけを食べると、味が少し濃いと感じるかもしれません。
もし、ご飯を合わせずに朴葉味噌を単品で食べたい場合は、お好みで、ねぎを少し多くしてみてください。
飛騨高山の朴葉味噌
最後に、岐阜県の飛騨高山で食べられている朴葉味噌について、写真をもとに少しお話します。
こちらは、地元の有名郷土料理店、「京や」でいただいた朴葉味噌です。
使用しているお味噌には、おろし生姜の風味が加わっているのが特徴です。
女将に朴葉の乾燥の仕方を伺ったところ、秋になって朴葉が木から落ちたら、すぐに拾って新聞紙などに挟み、丸まらないように重しをして干すそうです。
どのお料理も、とても味わい深くて美味しいですよ。
京やの朴葉味噌
@岐阜県 飛騨高山
こちらは、飛騨高山の居酒屋でいただいた朴葉味噌です。
地元の赤味噌だれのうえに、長ネギ・わけぎ・みょうが・しめじなどの具材がのっています。
高山の飲食店で供される昔ながらの朴葉味噌は、このように、きのこ類にねぎなどの薬味を合わせたものが定番です。
酒菜の朴葉味噌
@岐阜県 飛騨高山
こちらは、高山の昔ながらの古い町並みが残っている上三之町でいただいた朴葉味噌です。
具材は、にんじん・わけぎ・長ネギ・たまねぎ・しめじ。
具だくさんで甘さ控えめの朴葉味噌です。
高山の多くのお店では、卓上七輪に「アルミホイルで包んだ網」や「皿」をのせて、その上に朴葉をのせて焼くのが一般的です。
でも、こちらのお店では、炭火が入った卓上七輪に網をのせ、その上に直に朴葉をのせて焼きます。
長時間放置するとさすがに焦げてきますが、ごく弱火にしたうえで短時間加熱する程度であれば、問題はないようです。
脇茶屋の朴葉味噌
@岐阜県 飛騨高山
こちらは、土産物店の朴葉味噌です。
飛騨地方では、朴葉味噌専用の合わせ味噌や、朴葉と味噌がセットになったものなどがお土産として人気があります。
また、朴葉味噌用の卓上七輪も売られているので、自宅で本格的な雰囲気を楽しみたい方にもぴったりです。
土産物店
@岐阜県 飛騨高山
以上、朴葉味噌の作り方と食べ方についてお伝えしました。
朴葉味噌は、いわゆる「ねぎ味噌」なので、味にクセがなく、万人受けする美味しさです。
そのうえ、見た目に風情があり、食卓を華やかな雰囲気にしてくれるのも嬉しいところです。
乾燥朴葉はネットで簡単に入手できるので、気軽に試せますよ。
ところで当サイトでは、岐阜の郷土料理について、別記事で詳しく解説しています。
次の記事もあわせて参考にしてください。
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