本場ドイツ・ドレスデンの伝統的な製法を踏まえ、家庭のオーブンでも作りやすいように工程を整理したシュトーレンの作り方です。
シュトーレン作りで悩みがちな、生地のべたつきへの対処やフルーツの混ぜ込み方、成形の仕方や焼き時間の判断までを、写真とともに詳しく解説しています。
初めてシュトーレンを作る方でも失敗しにくく、しっとりしながらもほろっとほどける、リッチで本格的な味わいに仕上がるレシピです。
丁寧に説明している分、工程は多めですが、迷いやすいところは順を追って確認しながら進められます。
材料
| 強力粉 | 175g |
| 薄力粉 | 175g |
| グラニュー糖 | 70g |
| 塩 | 3g |
| 牛乳 | 120ml(人肌程度に温める) |
| ドライイースト | 5g |
| 溶き卵 | 1個分 50g(常温に戻す) |
| 無塩バター | 150g(少し硬めに常温に戻す) |
| ラム酒漬けレーズン(水気を切ったもの) | 200g(レーズン150g+ラム酒150mlで漬けたもの) |
| オレンジピール | 40g |
| レモンピール | 40g |
| アーモンド(ロースト) | 50g |
| シナモンパウダー | 小さじ1/2(1.2g) |
| カルダモンパウダー | 小さじ1/4(0.5g) |
| クローブパウダー | ひとつまみ(0.3g) |
| ナツメグパウダー | ひとつまみ(0.3g) |
| バニラオイル | 4〜6滴 |
| 溶かし無塩バター(仕上げ用) | 70g |
| 粉砂糖(仕上げ用) | 40〜50g |
シュトーレンのレシピ・作り方
レーズンをラム酒に漬けて下準備する
- ① シュトーレンを作る前日〜1週間前に、レーズン(150g)をラム酒(150ml)に漬けます。
保存容器や保存袋にレーズンとラム酒を入れ、冷蔵庫に置いて時間をかけて味をなじませます。 - ② 使う直前に、レーズンをザルに上げてラム酒を切り、キッチンペーパーの上に広げます。
上からもペーパーをかぶせて軽く押さえ、表面の水気をしっかり拭き取ります。
粒がつぶれないようにやさしく行ってください。
一方で、表面にラム酒が残ったままだと生地がべたつきやすくなるため、使う直前に水気をしっかり拭き取るのがポイントです。
具材を刻み、イーストを準備する
- ③ オレンジピール(40g)とレモンピール(40g)は5mm角くらい、アーモンド(50g)は5〜8mm角くらいの大きさに刻みます。
- ④ 牛乳(120ml)を人肌に温めます。指を入れて少し温かい程度が目安です。
ドライイースト(5g)を加えてよくなじませ、そのまま5分ほどおいて、イーストを軽く目覚めさせます。
粉類とスパイスを混ぜる

- ⑤ 大きなボウルに、強力粉(175g)・薄力粉(175g)・グラニュー糖(70g)・塩(3g)・シナモン(小さじ1/2:1.2g)・カルダモン(小さじ1/4:0.5g)・クローブ(ひとつまみ:0.3g)・ナツメグ(ひとつまみ:0.3g)を入れます。
粉全体が均一になるように、泡だて器などでしっかり混ぜ合わせます。
バニラオイル(4〜6滴)もこのタイミングで加えておきます。
牛乳と卵を加えて混ぜる

- ⑥ 粉の中央をくぼませ、そこにイーストを溶かした牛乳と溶き卵(50g)を入れます。
ヘラでさっくりと混ぜ、牛乳と卵を全体になじませます。
まだ粉っぽさがかなり残る状態で、次の工程に進みます。
バターを加えてこねる
- ⑦ 全体がひとまとまりになってきたら、室温に戻した無塩バター(150g)を2〜3回に分けて加え、手でこねてバターを生地になじませます。
この段階でこねすぎると生地が締まり、後でフルーツを混ぜ込む際に扱いにくくなります。バターが均一に行き渡れば十分です。
また、バターは完全にやわらかくせず、少し硬さが残る状態に常温に戻したものがおすすめです。
やわらかすぎると生地が一気にだれてべたつきやすくなりますが、少し硬さがあると生地になじませやすく、扱いやすくなります。
なお、シュトーレンの生地はもともと水分と油脂が多いため、多少べたつくのは自然な状態で失敗ではありません。
生地を休ませる

- ⑧ 生地がまとまり、表面がなめらかになったら、軽く平らにし、ラップかぬれ布巾をかけて5分ほど休ませます(ベンチタイム)。
この間にグルテンが落ち着き、後の具材の混ぜ込みがしやすくなります。
なお、生地がべたつく場合は、この間に冷蔵庫に入れると扱いやすくなります。
具材を混ぜ込む

- ⑨ 生地を手のひらで軽く押してガスを抜き、そのままボウルの中で生地をさらに平らに広げます。
ラム酒漬けレーズン・ピール類・アーモンドを生地全体に均一に散らしてのせます。
生地に具材をなじませる

- ⑩ 広げた生地を、スケッパー(生地を切るための道具)や手を使って四方から中央へ折りたたみ、具材を包み込むようにまとめます。
生地を強くこねるのではなく、生地の上下を入れ替えるように、ボウルの中でやさしく折りたたみます。
向きを変えながら3〜5回ほど行い、具材が全体に行き渡れば十分です。
手にごく少量のバターを塗ると、生地が扱いやすくなります。
一次発酵させる

- ⑪ 生地を丸く整え直し、ラップかぬれ布巾をかけます。
暖かい場所(20〜25℃程度)で約60分、ひとまわり(約1.3倍)くらい大きくなるまで一次発酵させます。
成形する
- ⑫ 一次発酵が終わったら、生地をボウルの中に入れたまま、手のひらでやさしく押さえて大きなガスだけを抜きます。
生地を台に取り出し、生地を横長の楕円形にのばし、厚さは約2cm、長さ22〜25cm、幅14〜16cm程度を目安に整えます。 - ⑬ 生地の中心より少し手前の位置で、手前と奥の幅がおよそ1:2に分かれるように、麺棒や手の側面で縦に溝(生地の半分くらいの深さ)を入れます。
- ⑭ 手前側の生地を持ち上げ、奥側の生地の上にずらしてかぶせます。
このとき、溝は折り目にするのではなく、うまく焼き上げるための位置の目安として使います。
溝を入れた位置が、成形後の生地の中心よりも少し手前に残るように整えましょう。
上から軽くおさえてなでるように馴染ませ、なだらかな傾斜のある伝統的なシュトーレンの形にします。(動画参照)
また、生地が安定してふくらみ、伝統的な形にきれいに焼き上がります。
ドイツで古くから行われてきた、シュトーレンならではの成形方法です。
二次発酵させる

- ⑮ 成形した生地をオーブンシートを敷いた天板にのせ、乾燥しないようオーブンの庫内に入れて二次発酵を取ります。
室温(20〜25℃程度)で約30〜40分、生地がわずかにふくらむ程度でよいです(パンのように大きく膨らませない)。
焼成する

- ⑯ 二次発酵の終わりに合わせて、オーブンを180℃に予熱します。
予熱完了後、成形した生地の「厚みのある背中側」を奥側に向けてオーブンに入れ、180℃で25分、そのあと160℃で25〜30分焼きます。
表面が早く色づきすぎる場合は、途中でアルミホイルをふんわりかぶせて焦げを防ぎます。
焼き上がったら、すぐにオーブンから取り出します。
焼き上がりの目安は、中心の一番厚い部分に竹串を刺し、生っぽい生地が付いてこなければOKです。
バターやラム酒、果実由来の油分や色が付くことはありますが、どろっとした生地が付かなければ問題ありません。
バターを塗る
- ⑰ 熱いうちにケーキクーラー(網)の上にのせ、仕上げ用溶かしバター(70g)をハケで全体にたっぷり塗ります。
側面や裏側にもまんべんなく染み込ませることで、乾燥を防ぎ、風味と保存性を高めます。
裏面にバターを塗るために裏返す際は、形が崩れないよう細心の注意を払って行ってください。
粉砂糖をまぶす
- ⑱ 表面の熱が少し落ち着いたら、まだ温かいうちに粉砂糖(40〜50g)を茶こしなどで上面と側面全体にふりかけます。
一度薄くまぶしてから、完全に冷めてからもう一度たっぷりと粉砂糖をかけると、雪のような仕上がりになり、風味も安定します。
シュトーレンの完成!

- ⑲ 完全に冷めたら、全体をラップでぴったり包み、さらにアルミホイルや保存袋で覆って密封します。
涼しく暗い場所に置き、1〜3日ほど熟成させると、生地とフルーツ、スパイスの味がなじみ、より本場らしい深い味わいになります。
日持ちは常温(直射日光を避けた涼しい室内)で2〜3週間です。
ラム酒とバニラの香りに、柑橘ピールの華やかさとスパイスの風味が重なり、奥行きのある味わいが広がります。
軽やかでほろっとした口あたりながら、少量でも満足感があり、薄く切って味わうのに向いた本格シュトーレンです。
よくある質問(FAQ)
シュトーレンの食べ方は?いつから食べ始めるとおいしい?
焼き立てからおいしく食べられますが、シュトーレンは日を置くことで生地とフルーツ、スパイスの味がなじんでいきます。
目安は1〜3日ほどで、特に2〜3日後は味がまとまりやすく、食べやすいタイミングです。
さらに風味の一体感を強くしたい場合は、保存状態が良ければ5〜7日ほど置いて、味の変化を楽しむのもおすすめです。
食べるときは薄めにスライスし、切り口同士を合わせて戻してから包み直すと乾燥しにくく、最後までおいしく食べられます。
シュトーレンの日持ちはどのくらい?保存方法のコツは?
このレシピのシュトーレンは、適切に包んで保存すれば、常温で約2〜3週間日持ちします。
ここでいう常温とは、暖房が強く入っていない15〜20℃前後の涼しい室内を指します。
焼き上がりに塗るバターと粉砂糖、ラム酒に漬けたレーズンが乾燥や劣化を防ぎ、時間とともに風味がなじんでいきます。
保存する際は、完全に冷めてからラップでぴったり包み、さらにアルミホイルや保存袋で密封し、直射日光や暖房の風を避けてください。
冷蔵庫に入れると生地が固くなりやすいため、基本は常温保存がおすすめです。
カットする際は、端からではなく中央から切り、残ったシュトーレンの切り口同士をぴったり合わせて元の形に戻してから包むと、切り口が空気に触れにくくなり乾燥を防げます。
これは、ラップなどがなかった時代から伝わる、ドイツのシュトーレンならではの伝統的な保存方法です。
また、冷蔵庫で保存した場合や室温が低い場所に置いていた場合は、生地が冷えて風味が感じにくくなることがあります。
その際は、食べる前に少し室温に戻すと、バターやスパイスの香りが立ち、よりおいしく食べられます。
シュトーレンとは?クリスマスに食べる理由は?
シュトーレンは、ドイツの伝統的な発酵菓子(クリスマス菓子)です。
ドライフルーツやナッツ、スパイスを練り込み、バターと粉砂糖で表面をコーティングすることで、保存性を高めるのが特徴です。
本場では、アドベント(クリスマスまでの期間)に少しずつ切って味の変化を楽しむ習慣があり、熟成が進むほど生地とフルーツ、スパイスの風味がなじんでいきます。





















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