中国の西の端に位置する新疆ウィグル自治区で採れた「グリーンレーズン」を使って、パン酵母を起こしました。
そしてそれで、パンを焼きました。
レーズンを仕込んでからパンが出来上がるまでには、1週間かかりました。
レシピをご紹介します。
新疆ウィグルのグリーンレーズン

パンのレシピをお伝えする前に、中国・新疆ウィグル産のグリーンレーズンについて簡単に記します。
新疆ウィグルの砂漠地帯を、私は数ヶ月かけて旅行したことがあります。
このグリーンレーズンは、その時の私のお気に入りのおやつでした。
砂漠に点在するオアシスの街で、私はこのグリーンレーズンをよく買って食べました。
新疆ウィグルの砂漠地帯は、良質なブドウの産地です。
その中でもとりわけ「トルファン」という街は、メインストリートの上部がブドウ棚になっているほど、ブドウが有名です。
トルファンの市場では、小粒のグリーンレーズンの他にも、色や大きさがまったく異なる20種類くらいの干しブドウが山積みにされて売られていました。
色とりどりの干しブドウは、まるで翡翠やルビー・ガーネットといった宝石のように、とても美しく見えました。
さて、そんなトルファンの干しブドウは質が高いことで有名ですが、日本ではなかなか入手できません。
でも小粒のグリーンレーズンだけは、ごくたまに見かけます。私はいつも富澤商店の通販で、このレーズンを買っています。
グリーンレーズンは、とても美味しい干しブドウです。
ヨーグルトのようなまろやかな風味があります。馴染みのある紫色の干しブドウに、ヨーグルトを加えて混ぜあわせたような味がします。
レーズン酵母を使ったパンの作り方
まずはグリーンレーズンで酵母を起こしました。
酵母がパンに使えるようになるまでに、丸7日かかりました。
この間の酵母の変化を、写真を交えてお伝えします。
仕込んだ日(5月22日朝)
広口ビンを熱湯消毒して、レーズンをビンの容量の半分以上入れ、ハチミツ(または砂糖)をティースプーン1杯加える。
最後に水を口ぎりぎりまで注ぎ、フタをきっちり閉めて、冷蔵庫(野菜室)に2日入れる。
ちなみに冷蔵庫に入れるのは、酵母が増殖しやすい環境を整えるためです。乳酸菌の増殖を促し、他の微生物の増殖を抑える目的があります。
2日目(5月24日朝)
フタを開けてスプーンでさっとかき混ぜ、再度フタをきっちり閉めて、室内の暖かいところに置く。
この日から毎日1回、この作業を繰り返す。
酵母が増殖し活動がさかんになると、プチプチと泡が出てきます。
この泡の出方に活気がなくなって来たら、酵母のエサとなるハチミツ(または砂糖)を、再びティースプーン1杯加えます。
7日目(5月28日夕方)
泡が盛んに出ている。酵母の活動が非常に活発になった証拠。
ビンの中身をザルに上げ、液体だけを取り出す。
ちなみに酵母液は、150ccありました。この日にパンを焼きました。
次に、酵母液を使ったパンの作り方をご紹介します。
自家製酵母を使ったパン作り
自家製酵母を使ったパンのレシピです。
強力粉 | 200g |
全粒粉 | 100g |
酵母液 | 150cc |
水 | 少々 |
塩 | 小さじ7/8 |
ブラウンシュガー | 小さじ1 |
- 水以外の材料すべてをボールに入れ、ざっとまとめる。生地がまとまりそうにない場合は、水を少し加える。
生地がまとまったら、3分くらいこねる。ボールにラップをして、生地が約2倍になるまで常温に置く。(5月末の少し寒い日で、12時間くらいかかりました。) - 丸く成形し、オーブンの天板の上にのせる。(ガス抜きはしない。)これをオーブンの中に入れ、生地が1.5倍くらいに膨らむまで、常温で暫く置く。(1時間半くらいかかりました。)
- 200度に温めたオーブンで10分焼き、さらに170度で25分焼いたらできあがり。
新疆ウィグルからレーズンに乗り、はるばるやってきた酵母が、味わい深いパンを作ってくれました。
市販のイーストを使ったパンと比べたら、やはりダンゼン奥行きのある豊かな味がします。
自然の中には、様々な特徴を持った酵母が存在しています。だからその分、色々な風味が出るようです。
一方の市販のイーストは、パンを膨らませる力が強い酵母だけを人工培養しています。そのためどうしても、酵母は、同じような味わいを生み出します。
しかも短時間でパンを発酵させるので、身近な自然酵母を、パン生地に呼び寄せる時間の余裕もありません。
だからどうしても味に、奥行きがなくなってしまいます。
外はパリッとしていて中はもっちりとした、懐かしい新疆のレーズンの味がする、美味しいパンが焼けました。
市販のイーストを使ったパンとの違いに、夫はすぐに気付いてくれました。
パン作りに1週間かけた甲斐がありました。