自家製豆板醤の作り方|空豆・米麹・塩で仕込む本格レシピ

豆板醤の作り方


空豆が旬を迎える5月頃、私は毎年「自家製豆板醤」を仕込んでいます。

豆板醤といえば中国・四川の発酵調味料として知られており、本場では乾燥空豆で作りますが、日本の米麹と生の空豆を使っても、風味豊かで旨味のある本格的な味わいに仕上がります。

この記事では、空豆の茹で方から仕込み、熟成のコツまで、家庭でも手軽に取り組める作り方を丁寧に紹介します。
はじめて豆板醤を仕込む方にも、毎年仕込んでいる方にも役立つ内容ですので、ぜひ参考にしてみてください。

豆板醤を美味しく作るコツ

豆板醤を美味しく仕上げるためには、空豆の量をしっかり確保することが大切です。
このレシピでは、空豆・米麹・塩を「14:1:2」の比率で使います。

以前、試しに空豆を少なめにして「5:2:1」で仕込んだことがありますが、旨味が乏しく物足りない仕上がりになりました。
ちなみに、この「5:2:1」という配合比は、空豆を大豆に置き換えると、一般的な手作り味噌とほぼ同じです。

味噌作りの経験がある方なら、このレシピで使う空豆の量がどれほど多めか、実感できると思います。
空豆の旨味をしっかり活かした豆板醤を作りたい方におすすめの配合です。


材料

空豆(茹でて薄皮を取ったもの) 210g(さや付きで約1kg、さやなしで約300g)
米麹 15g ※1
30g ※1
韓国産粗挽き唐辛子 15g ※2
0〜15ml程度(様子を見て加える)
  1. 空豆・米麹・塩は「14:1:2」の割合で使用します。
    この比率は、空豆に対して米麹が約7%塩が約14%になるため、空豆の量を変えても、同じ割合で計算すれば好みの量で作れます。
    塩は減塩したい場合、空豆に対して約11%(23g)でもOKです。その場合は冷蔵保存してください。
  2. 唐辛子は、中辛仕上げの場合は、空豆に対して7%(15g)が目安です。
    辛味を抑えたい場合は、5%(11g)でも作れます。

豆板醤の作り方

空豆を塩茹でする

空豆をさやから取り出す
空豆を塩茹でする
  1. ① 空豆をさやから取り出し、柔らかくなるまで茹でます。
    湯(1.5リットル)に塩(小さじ1)を加え、標準サイズなら3分、ごく小さい粒なら2分、大きくて硬めの粒なら4〜5分ほど塩茹でします。


空豆の薄皮を取り除く

茹でた空豆をザルに広げる
空豆の薄皮を取り除く
  1. ② 茹で上がった空豆は、ザルに広げて水気を切り、薄皮を取り除きます。
空豆は水にさらさず、熱々のままザルに広げて冷ますのがおすすめです。
水にさらすと水っぽくなり、ペーストにしたときに味がぼやけやすくなります。
熱と蒸気を飛ばすようにしながら、自然に水気を切りましょう。

ペースト状にする

空豆をフードプロセッサーでペースト状にする
フードプロセッサー
空豆をマッシャーでペースト状にする
マッシャー
  1. ③ 薄皮をむいた空豆(210g)をフードプロセッサーに入れ、なめらかなペースト状になるまで撹拌して、十分に冷ましておきます。
    フードプロセッサーがない場合は、マッシャーやすり鉢などを使って手で丁寧に潰しても大丈夫です。
    その際は、潰し残しがないかを最後に確認しながら仕上げてください。
  • 空豆は、完全に潰してなめらかにしないと、熟成中に「えぐ味」や「青臭さ」が残ることがあります。
    ざらつきがないよう、丁寧にペースト状にしましょう。
  • このあと加える麹は、生きた菌を含んでいます。
    熱い空豆に加えると麹菌が死滅し、発酵が進みにくくなるため、空豆は必ずしっかり冷ましてから混ぜてください。

米麹などを加えてたねを作る

ペースト状にした空豆に米麹と塩と唐辛子と水を加える
ペースト状にした空豆に米麹と塩と唐辛子と水を混ぜる
  1. ④ ペースト状にした空豆をボウルに移し、米麹(15g)・塩(30g)・韓国産粗挽き唐辛子(15g)を加え、よく混ぜてたねを作ります。
    混ぜ終えたときの硬さは、味噌よりもやや硬め(市販の豆板醤よりもだいぶ硬め)くらいがちょうどよい目安です。
    水(0〜15ml程度)は、様子を見ながら必要なら加えて、硬さを調整してください。


たねを保存瓶に移す

豆板醤のたねを保存容器に入れてラップを被せる
豆板醤を入れた保存用にフタを被せる
  1. ⑤ たねを保存容器に移します。
    たねの上面を平らにして、ラップを表面にぴったりと付けて、空気がなるべく入らないようにしましょう。
    そのうえで、乾燥しないようにフタをします。
発酵をスムーズに進めるため、仕込み後は空気が触れにくい環境を整えるのがポイントです。
私は、保存袋などで完全に密閉するのではなく、保存容器にたねをしっかり詰め、表面にぴったりとラップを密着させる方法を採用しています。
このようにして、適度に空気を遮断した「程よい嫌気状態」を保つことで、発酵が穏やかに進みます。

自家製豆板醤の完成!

豆板醤

  1. ⑥ 保存容器を冷蔵庫の野菜室に2ヶ月ほど置きます。
    2ヶ月間は、月に1〜2回ほど蓋を開けて軽く空気を入れ替えます。
    2ヶ月経ったらラップを外し、一度たねの上下を返します(天地返し)。
  2. ⑦ その後、ふたたび表面にラップをぴったりと密着させてフタをして、冷蔵庫の野菜室に2〜3ヶ月置いたら完成です。
    この間も、月に1〜2回ほど蓋を開けて軽く空気を入れ替えます。
    冷蔵庫で保存すれば、3年ほど長持ちします。
    仕込んでから1年ほどで旨味のピークを迎えます。

時間の経過とともに空豆と麹の旨味がなじみ、辛味はまろやかに変化し、深みのあるコクと自然な甘みが引き出されます。

冷蔵庫(野菜室)で保存すれば、カビが発生しにくく、見た目も安定します。
乾燥やにおい移りを防ぐため、しっかり蓋をした密閉容器での保存が基本です。
この豆板醤はじっくりと長期保存することで発酵が進み、旨味が深まる発酵調味料です。
保存期間中は、月に1〜2回ほど蓋を開けて軽く空気を入れ替えると、容器内の湿気やガスがこもらず、発酵がより安定します。

空豆が店頭に並ぶのは、全国的に5月頃がピークです。
その時期に豆板醤を仕込むと、2ヶ月ほど冷蔵庫に置き、7月の梅雨明け頃に天地返しを行い、さらに冷蔵庫で2〜3ヶ月熟成させて、秋くらいに完成します。

よくある質問(FAQ)

空豆を茹でるとき、塩はどれくらい入れればいいですか?

豆板醤用の空豆は、このレシピのように塩分控えめで茹でてOKです。
茹でる目的は「火を通すこと」と「軽く味を引き締めること」であり、食べるための塩茹でのようにしっかり塩味をつける必要はありません。
塩茹でしたあとに塩と唐辛子を加えて仕込むため、茹で湯に塩を入れすぎると、最終的な塩分が濃くなりすぎる場合があります。

豆板醤の仕込みに使う塩の量は、市販品と比べてどうですか?

このレシピで使う塩の量(30g)は、市販の豆板醤とほぼ同じくらいの塩気に仕上がる配合です(塩分濃度は、空豆と米麹と唐辛子の総量の約10〜11%)。
市販品は12〜15%程度が多いため、少しだけ控えめな塩加減ともいえます。
それでも塩分が気になる場合は、さらに減らして23g程度を使ってください(塩分濃度 約9%)。

たねの固さはどれくらいが適切ですか?

たねを混ぜ終えたときの硬さは、味噌よりもやや硬め(市販の豆板醤よりもだいぶ硬め)くらいがちょうどよい目安です。
発酵が進むにつれて、水分が自然に出て柔らかくなっていくため、最初から柔らかすぎると仕上がりがゆるくなりすぎることがあります。
保存容器に詰める際に、ヘラやスプーンでしっかり押し込める程度の硬さが理想です。

唐辛子はなぜ韓国産を使うのですか?

本場・中国では「二荆条(アルジンティアオ)」などの唐辛子を使うのが一般的ですが、日本では入手が難しいため、手に入りやすく発酵にも適した韓国産の粗挽き唐辛子を使用しています。
韓国産は色が鮮やかで辛味がまろやか、粒の大きさもちょうどよく、豆板醤づくりにもよく合います。

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