梅干しの作り方をご紹介します。
私は10年ほど前から自家製梅干しを作っていますが、いろいろ試した中で、初めてでも失敗しない簡単な漬け方をお伝えします。
梅干しを手作りする際のポイントは、2つあります。
1つめは、減塩せずにそれなりの量の塩を使うこと。
梅の18%の塩を使います。
漬け始めの梅はほぼ生の状態なので、そのまま空気にさらし続けると、カビや傷みが生じやすくなります。
そのため、梅干し作りにおいては、十分な量の塩を加えて梅の水分をすみやかに排出させ、その水分に梅を浸して空気を遮断することが大切です。
また、18%くらいの塩で漬けると、梅が常温で何年でも保存できるので、賞味期限を特に気にする必要がなく、長い時間をかけた梅の味の変化が楽しめるという素晴らしいメリットもあります。
ポイントの2つめは、何らかの容器を使って漬けること。
保存容器は、ボールや鍋で代用することもできます。
ジップロックなどの保存袋を使って梅干しを漬けるレシピもありますが、ジップロックよりも容器で漬ける方が、実は簡単で安心できると私は思います。
ジップロックを使うと、梅が袋の中に密閉された状態になるので、梅の水分が上がってくる2〜3日の間に傷みやすく、気温の変化にも気を配る必要があります。
ちなみに、今回ご紹介する梅干しの漬け方は、減塩しない昔ながらの漬け方なので、出来上がりは塩分がやや強いです。
その分、失敗しにくいうえに、何年も長持ちしますよ。
材料
梅 ※ | 1kg |
塩 | 180g |
赤しそ | 200g |
塩 | 40g |
※梅の量を2kgに増やす場合は、単純に他の材料も2倍に増やします。
このレシピは、最後に赤紫蘇を使って梅干しを赤みのある色に仕上げます。
赤紫蘇を加えた方が風味良く色良く仕上がりますが、お好みで赤紫蘇を使わずに作ることもできます。
梅干しの作り方・漬け方

梅雨の時期に出回る梅には、まだ青い梅(青梅)と黄色くなった梅の2種類がありますが、梅干しには、黄色く熟した梅を使うのが定番です。
梅を追熟させる方法
梅はなるべく熟したものを買うことをおすすめしますが、中にはまだ青っぽい梅もあると思います。
そうした場合には、梅が重ならないように皿などに並べ、黄色くなるまで常温に置きます。
梅が熟すにつれ、桃のような思わずうっとりするような甘い香りが部屋いっぱいに広がります。

梅が黄色くなったら、傷をつけないように優しく洗います。

そして、キッチンペーパーなどで水気をしっかり拭き取ります。

次に、竹串で梅のヘタを取り除きます。
梅のヘタは、実のくぼんだ部分の奥の方にありますが、竹串や楊枝のような尖ったものを脇に入れると、ポロッと簡単に取れます。

続いて、清潔な保存容器に塩(180g)と梅(1kg)を交互に入れ、最後に塩を少し多めにのせます。
保存容器について
保存容器は、ボールや鍋や瓶でも構いません。
ただし、塩や酸に弱い金属製のものは避け、琺瑯・ガラス・セラミック(陶磁器)のいずれかで出来たものを使ってください。
保存容器は、あらかじめ熱湯消毒したものを使います。
やり方は、容器の内側に熱湯をまんべんなく回しかけ、熱湯を捨てて、乾燥させるだけです。
このように容器の熱湯消毒を十分に行ったうえで、梅をきれいに洗って水気をしっかりと拭き取れば、容器や梅を焼酎などでアルコール消毒する必要はありません。
容器がない場合
梅干しに使えそうな保存容器やボールなどがない場合は、ジップロック(ビニール袋)で漬けることも一応可能です。

ただし、この方法で漬ける場合は、中身が密閉されている分、少し傷みやすくなります。
ジップロックで漬けると、梅の水分が上がるまで1日に何回か袋を揉んで全体を馴染ませる必要があるため、容器で漬ける方が簡単で失敗もしにくいです。
なお、梅の水分が上がったら、後の工程は容器で漬ける場合と同じです。

梅と塩を保存容器に入れたら、重し(2kgくらい)をして、もしフタがあれば、その上にかぶせます。
フタがない場合は、ほこりなどが入らないように布や紙などで覆います。
そして、梅の水分(梅酢)が上がり、梅が梅酢に完全に浸るまで、3〜4日置きます。
重石について
重しは、何か重い物を入れたボールなどで代用できます。

1.5リットルのペットボトルは1.5kgくらいですし、缶詰の大1缶は500gくらいです。
なお、重しの重量については、梅1kgの場合は2kgが目安ですが、梅を2kgに増やす場合は、単純に重量を2倍にして4kgにします。
梅酢が上がらない場合
4日経っても梅酢が上がって来ない場合は、重しを少し増やしてみてください。
上のレシピの通り18%の塩(梅1kgに対して180g)をしていれば、水分は上がってくるはずです。
塩の量や重しの重量を少なくすると、水分は出にくくなります。

梅の水分(梅酢)が上がると、こんな感じになります。
この状態になったら、重しをすこし軽くします。
重量は、梅のアタマが梅酢から出ないくらいが目安。
具体的には、500g〜1kg程度です。
ここで、重しを軽くしておくことで、梅を必要以上に潰さないようにします。

赤シソを使わずに作る場合は、このまま3週間ほど冷暗所に置きます。
そして、3週間経って、なおかつ梅雨が明けたら、梅を干す作業に入ります。
赤じそ漬けの作り方
梅干しは赤シソを使わずに作ることもできますが、ひと手間かけて赤シソを加えた方が、風味良く色良く仕上がるのでおすすめです。
赤シソを使う場合は、梅酢が上がってきたタイミングで、赤シソの準備をします。
赤シソがまだ出回っていない場合は、赤シソが手に入るまで、梅を容器にいれたまま冷暗所に置いておきます。
- 太い枝を
取り除く - ①
- 洗って
水気を取り除く - ②
赤シソが手に入ったら、まず、赤シソの太い枝を取り除きます。(①)
そして、きれいに洗い、水気をしっかり取ります。(②)
水気をきれいに取り除く
時間がある場合は、赤シソをザルの上に広げて自然乾燥させてもいいですし、すぐに使いたい場合は、布巾やキッチンペーパーなどを使って水分を拭き取ってもいいです。
ここで水分をちゃんと取ると、シソのアクが抜けやすくなります。
- 塩で揉む
(1回目) - ①
- 絞る
- ②
- 塩で揉む
(2回目) - ③
- 絞る
- ④
そして、塩の半量(20g)を赤シソに加え、手でよく揉みます。(①)
しばらくすると、赤黒い水が出てきます。
これは赤シソのアクなので、きっちり絞って取り除きます。(②)
これをもう1回繰り返します。
残りの半量(20g)の塩を加え、再び手でよく揉みます。(③)
赤黒い水が出てきたら、それをしっかりと絞ります。(④)
- 梅酢をかける
- よく混ぜる
赤シソのアクをしっかり絞ったら、今度はそれに、梅から出た梅酢(200mlくらい)を回しかけ、よく混ぜます。
そうすると、梅酢が鮮やかな赤色になります。

続いて、梅酢をかけた赤シソを、梅酢と一緒に梅の上に広げます。
容器ごと軽くゆすり、赤シソのエキスを全体に軽く馴染ませます。

このまま3週間ほど冷暗所に置きます。
3週間経って、なおかつ梅雨が明けたら、梅を干す作業に入ります。
梅干しの干し方
梅雨が明けたら、晴天が続く日をねらって梅と赤シソをザルに広げ、日向に干しします。
梅干しは、天日干し(土用干し)をしなくても食べられます。
でも、太陽光に晒すひと手間をかけると、殺菌されるので保存性が増すうえに、味に深みが出て、色が良くなります。

まず、梅干しと赤シソを容器から取り出し、ボールの上のザルにのせ、軽く水気を切ります。

次に、盆ザルの上に、少しずつ間隔を空けながら梅干しを一粒ずつ広げます。
梅干しは、重しで少し平たくなっているので、形を丸く整えながら並べるといいです。
ザルにのせて風通しをくする
梅干しは、ザルなどの通気性の良いものの上にのせて、更にザルの底を少し高くして風通しを良くすると、全体を均一に干すことができます。

赤シソは、ザルの上にのせたまま、網杓子(もしくはおたま)などで上からぎゅっと押さえて水気を絞ります。
そして、なるべく重ならないように盆ザルの上に広げます。

続いて、盆ザルを日向に置き、梅干しと赤シソを3日ほど干します。
また、この時、容器に残った梅酢も一緒に干すといいです。
干している間は、1日に1回くらい、梅干しと赤シソの上下を返します。
ムリのない範囲で干す
昔ながらの梅干しは、3日3晩干して、あえて夜露に当てて作りますが、私が試したところでは、日が出ていない時に干しても、味や色の差はあまり分かりませんでした。
日常生活の負担になっては本末転倒ですから、できる範囲で干してください。
干すのに適した場所が屋外にない場合は、陽の当たる窓際でもOK。
逆に、陽の光が当たる場所が屋外しかなく、干す時間が3日も取れないという場合は、屋外で数時間程度干すのもアリです。
なお、風が強い場合は、ほこりが付かないようにいったん室内に取りこんで、風がおさまった時をねらって干すといいです。
梅酢の干し方
梅干しを干す際には、お好みで、容器に残った赤梅酢も一緒に干すと、殺菌効果が加わって保存性がアップします。
その際には、容器に入ったままの状態で太陽に当てます。
屋外で干す場合は、ほこりが入らないように、容器の口をラップなどで覆うと安心です。

天日干しした後は、梅干しも赤シソも、ビンなどの密閉容器に入れて、フタをして冷暗所で常温保存します。
その際には、干したものをそのまま保存してもいいですけど、梅酢に軽くくぐらせてから保存したり、漬けた容器に戻して梅酢に浸した状態で保存してもいいです。
ただ、梅酢に浸すかどうかで、塩気も食感も少し変わります。
梅酢に浸すと、塩気が濃くなり食感はやや柔らかくなりますので、お好みで試してみてください。
なお、残った梅酢も、ビンなどの密閉容器に入れれば冷暗所で常温保存できますので、調味料として、和え物やサラダなどの風味付けにじゃんじゃん使ってください。
赤しそでゆかりが作れる
赤シソに関しては、風味と色がすでに梅に移っているので、必ずしも梅と一緒に保存する必要はありません。
もちろん梅干しと一緒に食べることもできますが、カラカラに乾燥させた赤シソを砕いて「ゆかり」にするのもおすすめです。

このようにして干すと、1日くらいでカラカラになります。
あとはミルやすり鉢で砕くだけで、「ゆかり」が作れます。

こちらが完成した梅干しです。
しっかりとした酸味とほどよい塩気があり、ご飯ととても良く合います。
上の写真は、2010年に撮影したもので、3年ものの梅干しを干しているところです。
長期保存した梅干しも、私は梅雨明けにたまに干しています。
1年後や2年後に干すことで、味により深みが出ます。
レシピ通りに18%の塩で漬けると、梅干しは何年でももちます。

これは5年物の梅干しです。
数年置くと、梅と塩がさらに調和してまろやかなります。
18%の塩で漬けると、塩気が馴染んだ梅干しの味も楽しめて面白いですよ。
減塩梅干しはよくありますけど、梅干しを安心して長期保存できるのは、やはり18%です。
ところで、当サイトでは、梅を使ったレシピを他にもご紹介しています。
下のリンク先もぜひご覧ください。