柴漬けの作り方。乳酸発酵させる本格レシピと梅酢を使った時短レシピ。

柴漬け
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風味を引き出す!柴漬けの作り方

しば漬けのおすすめの作り方をご紹介します。

美味しい柴漬けを作りたいのなら、やはり、赤紫蘇を使って漬けるのが一番です。
野菜と赤梅酢だけで手軽に柴漬けを作ることもできますが、旬の赤紫蘇の風味を加えると、味に深みが出て、格別な味に仕上がります。

さて、この記事では、赤紫蘇を使った柴漬けのレシピを2つご紹介します。

1品めは、柴漬け発祥の地である京都大原の本格レシピ
なすと赤紫蘇と塩だけを使い、1週間ほどかけて乳酸発酵させて作ります。
発酵が進むにつれて赤紫蘇が赤く発色していき、ほどよい酸味と旨味が加わります。
一度食べたらクセになる、オトナ好みの滋味深い一品です。

2品めは、梅酢と赤紫蘇を使った柴漬けの時短レシピです。
こちらは、比較的さっぱりとした味が特徴で、半日ほどで食べ始めることができます。

なお、この記事は、柴漬けとゆかりの深いお寺、京都大原の「寂光院」よりお伝えします。
記事の後半では本場京都の柴漬けについても解説していますので、ぜひ参考にしてください。


材料

本格しば漬け
なす 500g
赤しそ 100g(なすの20%)
粗塩 24g(なすとしその4%)
時短しば漬け
なす・きゅうり・みょうが・生姜 合計500g
粗塩 5g(野菜の1%)
赤しそ 50g(野菜の10%)
粗塩 5g(しその10%)
梅酢(もしくは酢) 大さじ1と2/3

各材料の量は、表記した割合を目安にすれば、いくらでも変えられます。
たとえば、半量で漬ける場合は、材料すべてを半量にしてください。

本格しば漬けの作り方

赤紫蘇の茎と軸を取る
茎と軸を取り除く
赤紫蘇を洗う
きれいに洗う
  1. ① 赤しその太い茎と硬い軸を取り除き、100g分用意します。
    ボールに水をためて、何回か水を替えながらきれいに洗い、ザルに上げて水気を切ります。


赤紫蘇の水気を取る
水気を取る
赤紫蘇を細切りにする
細切りにする
  1. ② 赤しその水気を取り除きます。
    ザルに広げて乾燥させても良いですし、布巾やキッチンペーパーで水気を拭き取っても良いです。
  2. ③ ざっくりと1センチ幅くらいの細切りにします。

赤しそを刻んで使う

赤しそを切らずにそのまま漬けると、かたまり状になって食べにくいうえに、漬け物全体がしその色に均一に染まりにくくなります。
そのため、ざっくりと刻んで細かくしてから使います。


洗ったなすの水気を拭き取る
洗って水気を取る
なすを斜め切りにする
斜めに切る
  1. ④ なすをきれいに洗い、布巾やキッチンペーパーで水気を拭き取ります。
    ヘタを切り落とし、斜めに3〜4等分に切ったものを、500gほど用意します。

なすと赤紫蘇に塩を揉み込む
塩を揉み込んだなすと赤紫蘇
  1. ⑤ なすと赤しそをボールに入れます。
    粗塩(24g)を加え、手でよく混ぜて塩を全体に馴染ませて、赤しそをしんなりとさせます。
赤しそは、あらかじめ塩で揉まずに、刻んですぐになすと合わせます。
その方が、色や風味が出やすいためです。


なすと赤紫蘇に重しをする
なすと赤紫蘇の水気を絞る
  1. ⑥ なすと赤しそを平らにならし、2倍くらい(1.2kg程度)の重しをして、1時間ほど置きます。
  2. ⑦ 1時間経ったら、なすと赤しその水気を手でしっかりと絞ります。

なすと赤紫蘇を保存袋に入れて空気を抜く
空気を抜く
なすと赤紫蘇を入れた保存袋に重しをする
重しをする
  1. ⑧ 保存袋に入れて、袋の中の空気をきっちりと抜いて口を閉じ、1kg程度の重しをして、冷暗所(常温)に1週間〜10日ほど置きます。

保存袋で漬けると失敗しない

柴漬けを家庭で作る場合は、保存袋で密閉して漬けるのがおすすめです。

漬け物容器で柴漬けを漬ける
かめや漬け物容器(右の写真)で漬けると、空気に常に触れているのでカビが発生しやすいですし、重しをしっかりする分、赤しその成分が隅々まで行き渡りづらく、全体がきれいな赤色に染まりにくいです。


漬けてから5日経ったしば漬け
5日後
漬けてから1週間経ったしば漬け
1週間後
  1. ⑨ 少し味見をしてみて、好みの味になったら完成です。
    できあがったら、袋ごと冷蔵庫に入れて保存します。
    日持ちは、冷蔵保存で1ヶ月ほどです。
    もう少し長持ちする場合が多いですけど、1ヶ月以降は様子を見ながら食べてください。

色や味の変化について

1週間〜10日くらい置くと、発酵が進んで、全体が柴漬けらしい鮮やかな赤い色に変わってきます。
色の出具合は、使用する赤しその質によっても変わってきますが、だいたいこれくらいの日数で変化します。
また、乳酸菌の働きが活発になることで、日が経つにつれて酸味が少しずつ増していきます。



しば漬け

ほどよい酸味とコクが印象的な、味わい深い柴漬けです。
なお、スーパーなどに行くと色々な種類の柴漬けが並んでいますが、この柴漬けは、そうしたものとは一線を画します。

市販の柴漬けは、酢や調味料を加えて柴漬け風に味付けしたものがほとんどです。
でもこの柴漬けは、乳酸発酵によって風味をアップさせた、昔ながらの生柴漬けです。
素朴でありながら、深みのある味を楽しめます。
両者は味が大きく異なるため、それぞれを食べくらべてみるのも面白いですよ。

時短しば漬けの作り方

野菜を洗って水気を取る
洗って水気を取る
野菜を切る
切り分ける
  1. ① なす・きゅうり・みょうが・生姜をきれいに洗い、布巾やキッチンペーパーで水気を拭き取ります。
  2. ② なすのヘタを取り除いて5ミリ幅の半月切りにして、きゅうりとみょうがを5ミリ幅の輪切りにします。
    生姜は、1かけ(15g)を上限として、皮をむいて千切りにします。

野菜の割合はお好みで

なすときゅうりとみょうがは、お好みで、使う割合を調整してみてください。
わが家では、この3種類の野菜は必ず使いますが、「なすだけ」「きゅうりだけ」でもいちおう作れます。


野菜に塩を混ぜる
野菜に重しをする
  1. ③ 野菜すべてをボールに入れて、重さを量って500g分用意します。
    粗塩(5g)を加え、手でよく混ぜて塩を全体に馴染ませます。
  2. ④ 野菜を平らにならし、2倍くらい(1kg程度)の重しをして、1時間ほど置きます。


赤紫蘇の茎と軸を取る
茎と軸を取り除く
赤紫蘇を洗う
切り分ける
  1. ⑤ 赤しその太い茎と軸を取り除き、50gほど用意します。
    ボールに水をためて赤しそをきれいに洗い、水気を布巾などでしっかり拭き取って、ざっくりと1センチ角くらいに切ります。

赤しその下処理について

この柴漬けをつくる場合は、しその軸の部分をちゃんと取り除くことをおすすめします。
漬ける日数が短いので、軸の食感が硬く残りやすいためです。

また、葉の部分に関しては、「食べやすさ」と「色の染まりやすさ」をアップさせるために、あらかじめ小さく切ってから使います。


赤紫蘇を塩で揉む
赤紫蘇を絞る
  1. ⑥ 赤しそをボールに入れ、粗塩(5gの半量)を加え、手でよく揉みます。赤黒い水が出たら、水分をしっかりと絞り、絞り汁を捨てます。
  2. ⑦ 残りの半量の粗塩を加え、再び手でよく揉み、赤黒い水を出します。もう1度水分をしっかり絞り、絞り汁を捨てます。
このように塩揉みすると、赤しそのアク抜きができます。

赤紫蘇に梅酢を馴染ませる
梅酢が赤色に変化したところ
  1. ⑧ 赤しそを塩で揉んだら、梅酢(大さじ1と2/3)を赤しそに回しかけ、よく馴染ませます。
    梅酢が鮮やかな赤色に変わります。

梅酢と酢の違い

梅酢は、同量の酢で代用することもできます。

ただ、酢を使うと、色の鮮やかさがやや鈍くなり、塩気が控えめになります。
また、仕上がりの風味は梅酢を使った方が断然良いので、できるだけ梅酢を使うことをおすすめします。

なお、梅酢には、白梅酢と赤梅酢の2種類があります。
2つの違いは、赤しそのエキスが入っているかどうか。
このレシピでは赤しそを別途加えるので、赤しそが入っていない白梅酢を使うのが基本ですが、赤梅酢でも問題なく作れます。



野菜の水気を絞る
野菜とほぐした赤紫蘇を混ぜる
  1. ⑨ 野菜に重しをして1時間経ったら、水気を手でしっかりと絞り、赤しそが入ったボールに加えます。
    赤しそを軽くほぐしながら混ぜます。

野菜と赤紫蘇を保存袋に入れて空気を抜く
口をとじる
保存袋を冷蔵庫に入れる
冷蔵庫に置く
  1. ⑩ 保存袋に入れ、袋の中の空気をしっかり抜いて口を閉じます。
    冷蔵庫に入れて、半日ほど置いたら完成です。

漬けてから半日経ったしば漬け
半日後
漬けてから5日経ったしば漬け
5日後

漬けてから半日ほど経つと、全体が馴染んできて食べ始めることができます。
3〜5日ほど経つと、色も味もさらによく馴染んで、より美味しくなります。

日持ちは、冷蔵保存で1週間ほどです。
保存の際には、袋の中の空気をしっかり抜いて、野菜が汁にしっかり浸かった状態をキープします。



しば漬け

先ほどの生柴漬けとくらべると、味がさっぱりとしていているのが特徴です。

とても食べやすいので、箸休めにもぴったりな一品です。
梅酢の爽やかな酸味とともに、美味しくいただけます。

残った赤しその使い道:梅干ししそジュース

京都大原のしば漬けを解説

最後に、京都大原の柴漬けについて解説します。

京都市の大原地区は、赤しその栽培が盛んで、「柴漬け発祥の地」と言われています。
平安時代の頃にはすでに食べられていたようですが、当時はまだ、「柴漬け」という名前ではありませんでした。

柴漬けの名前の由来は、平清盛の娘の建礼門院けんれいもんいん(平徳子)という説があります。

壇ノ浦の戦いで一命を取り留めた建礼門院は、現在の大原地区にある寂光院じゃっこういんという尼寺に移り住みました。
地元民からしそを使った漬け物を献上された際に、紫色に染まった葉を見た建礼門院が「紫葉漬け」と名付けたという伝承が残っています。

京都大原の寂光院の本堂
寂光院の本堂
京都大原の寂光院の御庵室跡
御庵室跡

寂光院では、いまでも夏になると柴漬けを作っているそうです。

お寺の方に話を伺ったところ、作った柴漬けは、天皇家に献上するとともに、檀家にも分けているのだとか。
また、使う材料は、赤紫蘇となすと塩の3つだけで、なすは、斜めに3〜4等分して使うとのことでした。

詳しい分量などは分かりませんが、記事の前半でご紹介した柴漬けのレシピは、お寺の方に伺ったお話を参考にしています。

大原地区の柴漬け店

ところで、大原地区を車で走っていると、柴漬けのお店をよく見かけます。

京都大原の土井志ば漬本舗
右の写真に写っている「土井志ば漬本舗」もその一つです。

このお店が面白いのは、柴漬けの販売コーナーの脇に、柴漬けを実際に食べられるレストランがあり、さらにその奥には、柴漬けの製造工場が併設されている点です。

工場は、ガラス越しに見学が可能。
細かい作業内容は見えませんが、柴漬けの製造工程を知れるのは、なかなか興味深いです。

土井志ば漬本舗のしば漬け

上の写真でお皿に出ているのは、土井志ば漬本舗の「昔ながらの生志ば漬」です。

使っている材料は、赤紫蘇となすと塩の3つだけ。
寂光院と同様に、伝統的なスタイルの柴漬けになっています。

飾り気のない味ですが、発酵食品独特の旨みがあり、ご飯とよく合います。


以上、柴漬けのおすすめの作り方についてお伝えしました。

柴漬けには、大きく分けて、乳酸発酵させて味を引き出すタイプと調味料を加えて味をととのえるタイプの2種類があります。

それぞれに異なる魅力があるので、ぜひ2つとも試してみてください。


ところで当サイトでは、京都の郷土料理について、別記事で詳しく解説しています。
次の記事もあわせて参考にしてください。

【追記】
  • 「本格しば漬け」に使う赤しその量は、レシピ通りに、なすの重量の20%程度にするのがおすすめです。
    あまり多すぎるとしその風味が強くなりすぎますが、これくらいにすると、風味も色もちょうど良いです。
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