湯豆腐のレシピをご紹介します。
湯豆腐は、豆腐の味を最高に楽しめる、奥深いお料理です。
豆腐をほどよく加熱することで、優しい甘みが引き立ちます。
さらに、昆布だしをきかせることで、豆腐自体の旨味もしっかりと感じられるようになり、豆腐の美味しさを再発見することができます。
そんな湯豆腐ですが、食べ方はシンプルなのが一番です。
具材は豆腐だけ、鍋つゆは昆布だしだけがおすすめ。
たれは、だし醤油とねぎがとてもよく合います。
そして、美味しい湯豆腐を作るうえでの最大のポイントは、豆腐を加熱しすぎないことです。
つゆは決して沸騰させずに、静かに火を入れて、豆腐が鍋肌から少し浮いたら、すぐにすくっていただきます。
豆腐は、中心部分がほんのり温まったくらいが食べ頃。
アツアツまで温めると、豆腐の繊細な味や食感が舌で感じられなくなってしまうので、タイミングを逃さずに引き上げることが大切です。
なお、このレシピは、湯豆腐発祥の地、京都・南禅寺の湯豆腐を参考にして作りました。
記事の後半では、南禅寺周辺で供されている湯豆腐についてもお伝えします。
材料
豆腐 ※ | 1丁 |
昆布 | 10g(10センチ角) |
水 | 600ml |
かつお節 | 1パック |
みりん | 大さじ1 |
酒 | 大さじ1 |
醤油 | 50ml |
水 | 大さじ1 |
小ねぎ | 4〜5本 |
一味唐辛子 | 好みで少々 |
柚子やすだち | 好みで少々 |
ご飯 | 200g |
卵 | 1個 |
- 木綿豆腐でも絹豆腐でもOK。
たれの作り方

- ① みりん(大さじ1)・酒(大さじ1)・醤油(50ml)・水(大さじ1)を小鍋に入れ、軽く沸騰させてアルコール分を飛ばします。
- ② かつお節(1パック:2.5g程度)を加えて火を止めて、使うまでそのまま置きます。

- ③ 使う直前になったら、茶こしなどで濾して、かつお節を取り除きます。
これでたれが完成しました。
このたれは、少し甘さが控えめになっていて、かつお節の旨味がしっかりと感じられるのが特徴です。
湯豆腐に付けると、豆腐のやさしい甘みが引き立ちます。
だしの作り方

- ④ 土鍋に昆布(10g:10センチ角程度)と水(600ml)を入れ、30分ほど置きます。
水の量について
水の量は、豆腐が少しかぶるくらい必要です。
少し足りなそうな場合は、600ml程度を目安に、若干増やしてください。
大きい鍋しかない場合
手元に大きい鍋しかない場合は、水の量がやや多めに必要になります。
そんな場合は、昆布だしが薄くならないように、水と一緒に昆布の量も増やしてみてください。
分量は、水600mlにつき昆布10gが目安です。
一晩浸けるのもいい
ちなみに、時間に余裕がある場合は、昆布を水に浸してからラップをして、冷蔵庫に一晩ほど置くと、より濃いだしが出るのでおすすめです。

- ⑤ 土鍋を弱火にかけ、じわじわと加熱して、沸騰する少し手前まで昆布の旨味を引き出します。
具材の準備・湯豆腐の作り方

- ⑥ 豆腐(1丁)を6等分くらいの大きさに切ります。
豆腐の種類
豆腐は、木綿豆腐でも絹豆腐でもお好みで選んでみてください。
ちなみに、湯豆腐に使われるお豆腐は、関東では木綿豆腐、関西では絹ごし豆腐を使うことが多いようです。
わが家では、木綿豆腐が人気です。

- ⑦ だしが沸騰する少し手前で豆腐をそっと入れます。
だしは決して沸騰させない
ここでグラグラと沸騰させると、昆布のぬめりが出てしまいますし、豆腐を入れた時に豆腐の表面ばかりが熱くなってかたくなり、中心部分が十分に温まりにくくなってしまいます。
そのため、少しぬるめの湯に豆腐を加える方が美味しく仕上がります。

- ⑧ 豆腐が温まると、鍋肌から離れて少し浮き上がってきますので、そうしたら食べ頃です。
食べ頃を逃さない
湯豆腐は、調理がとても簡単なお料理ですけど、お豆腐をいただくタイミングは、少しデリケートです。
お豆腐をつゆに入れて、ゆらっと動いて少し浮き上がったあたりが食べるタイミング。
そこからさらに5分10分温めると、豆腐全体が熱々になって、口に入れた時に味が分かりにくくなってしまいます。
そのうえ、過度に加熱すると、豆腐の内部に気泡が生じて細かい空洞ができ、味が落ちてしまうことも。
湯豆腐は、中心部分までほんのりと温まったくらいの状態で食べるのがベストです。

- ⑨ 豆腐が浮き上がったら、すぐに、たれと薬味を添えていただきます。
まずは、豆腐に少量のたれをつけて、小口切りにした小葱をすこし添えて食べてみてください。
たれは甘さ控えめで、豆腐のやさしい甘みが引き立つ味付けにしています。
たれとねぎだけでも、十分美味しくいただけると思います。
お好みで、一味唐辛子を少しかけたり、ゆずやすだちを絞ったりして味変を楽しむのもいいです。
湯豆腐は、豆腐の味を味わうのにぴったりなお料理です。
昆布だしの深みのある旨味とともに、とても美味しくいただけます。
豆腐を追加する場合
ちなみに、湯豆腐の魅力にはまって、豆腐をもっと食べたいという場合は、後から追加することもできます。
その場合は、時間が経つと昆布のぬめりが出やすいので、昆布を引き上げてから豆腐を加え、温めてください。
しめの作り方
湯豆腐のしめは、シンプルな雑炊にするのがおすすめです。

- ⑩ 残ったつゆ(半量)を煮立て、ご飯(200g)を加えてさっと煮て、溶き卵(1個分)を回しかけます。
卵がふんわりと固まったら小ねぎを散らし、器に取って、湯豆腐の残ったたれを少しかけていただきます。
昆布のだしがおつゆにしっかりと染み出しているので、これだけで満足度の高い味に仕上がります。
湯豆腐としめの雑炊。
この2つで十分にお腹が膨れるので、後は、簡単なおひたしでもあれば、立派な献立になりますよ。
南禅寺の湯豆腐の作り方

最後に、湯豆腐発祥の地、京都・南禅寺周辺の湯豆腐について、お伝えします。
南禅寺は、700年以上の歴史を誇る、とても格式の高い禅宗のお寺です。
このお寺では以前から精進料理として豆腐が食べられていたそうで、それが、湯豆腐の原型となったと言われています。
現在の南禅寺周辺には、昔ながらの湯豆腐を提供するお店が軒を連ねており、そうしたお店では、南禅寺御用達の「服部食品」の豆腐が使われていることが多いです。
その「南禅寺豆腐」は、見た目はごく一般的な四角い形をしていますが、絹豆腐と木綿豆腐のちょうど中間ぐらいの食感が特徴。
通販でも購入できるので、一度本場の味を試してみるのもいいと思います。
順正の湯豆腐

さて、そんな南禅寺の湯豆腐ですが、今回私が訪れたのは、「順正」というお店です。
南禅寺のほど近くにある有名店で、上の写真は、同店の一番人気メニューの湯豆腐です。
おつゆには利尻昆布で取った出汁を使っていて、具材は服部食品の南禅寺豆腐のみ。
今回ご紹介したレシピと同様にかなりシンプルな構成になっており、余計な具材がない分、豆腐の味をしっかりと味わえます。
つけダレは、かつおだしの風味と唐辛子のピリッとした辛さを生かした醤油ベースの味付けになっていて、そこにねぎが添えてあります。
そして、なにより特徴的なのは、鍋の中央に炭が配置されていること。
炭火でじんわりと温めることで、過度な加熱を防ぎ、豆腐の美味しさをキープしています。
もちろん、お店の味をそのまま真似る必要はありませんが、有名店で実際に食べてみると色々と勉強になります。
特に、次の3点は、家庭での湯豆腐作りに活かせると思います。
- 具材を豆腐だけにする方が、豆腐自体の味を楽しめる。
- おつゆは昆布だしだけでOK。
- 豆腐を加熱しすぎないように気を配る。
ぜひ参考にしてください。
ところで当サイトでは、京都の郷土料理について、別記事で詳しく解説しています。
次の記事もあわせて参考にしてください。