ほうれん草を使った人気の鍋、「常夜鍋」のレシピをご紹介します。
常夜鍋とは、豚肉やほうれん草などに軽く火を通し、ポン酢やレモン醤油などでいただくしゃぶしゃぶ鍋のことです。
作家の向田邦子さんや北大路魯山人が好んだ鍋としても有名で、毎晩食べても飽きないことが名前の由来とも言われています。
まず、鍋に湯を沸かし、少し多めに日本酒を加えます。
そして、にんにくとしょうがを1かけずつ放り込み、風味をじわっと引き出します。
タレは、醤油にレモンを絞ったものを使います。
向田流の食べ方はなかなか独特で、先に豚肉をしゃぶしゃぶして食べ終えてから、その後に、豚肉のだしが出た湯で、生のほうれん草をさっと湯がいていただきます。
この食べ方もなかなかいいものですが、でもまあ、食べる順番はお好みで。
豚肉とほうれん草を一緒に食べても十分美味しいです。
ほうれん草と豚肉だけでは寂しいという方のために、この記事では、うどんを使ったしめのレシピもご紹介します。
そして、刻みねぎと天かすをのせ、醤油をかけていただきます。
今回ご紹介する常夜鍋は、日本酒の香りがふわっと広がる大人の鍋料理。
ものすごくシンプルなレシピですが、それがこの料理の魅力で、素材の味を存分に楽しめます。
毎晩食べるとさすがに飽きますが、1シーズンに1回は必ず食べたくなる、鍋料理のおすすめレシピです。
ほうれん草鍋(常夜鍋)のレシピ
「常夜鍋(ほうれん草鍋)」のレシピです。
ほうれん草 | 1束 |
豚ロースしゃぶしゃぶ肉 | 400g |
水 | 800ml |
酒 | 240ml |
にんにく | 1かけ |
しょうが | 1かけ |
レモン※ | 適量 |
醤油※ | 適量 |
ゆでうどん | 1〜2玉 |
卵 | 2個 |
刻みねぎ | 適量 |
天かす | 適量 |
醤油 | 適量 |
七味唐辛子 | 好みで適量 |
※レモンと醤油はポン酢で代用OK。
- ほうれん草の根元の硬い部分を取り、きれいに洗い、手で食べやすい大きさに割く。
- 【たれ】醤油にレモン汁を絞る。
- 鍋に水を入れ、沸騰させる。日本酒・にんにくとしょうが(丸ごと)を加え、2〜3分加熱して香りを立たせる。
豚肉とほうれん草をしゃぶしゃぶして、たれを付けていただく。 - 【しめ】鍋にうどんを入れ、卵を割り入れ、2分ほどフタをして卵を半熟に固める。
うどんと卵を器に入れ、刻みねぎ・天かすをのせ、醤油・七味唐辛子をかけていただく。
写真をもとにレシピを説明します。
【工程1】
まず、ほうれん草(1束)の根元の硬い部分を取り、きれいに洗い、手で食べやすい大きさに割きます。
包丁は使いません。
ほうれん草は、茎1本ずつにばらしてしまった方が食べやすいです。
【工程2】
次に、たれを作ります。
醤油(適量)にレモン汁(適量)を絞ったら完成です。
レモンが無い場合は、市販のポン酢で代用してもOKです。
【工程3】
続いて、鍋に水(800ml)を入れ、沸騰させます。
そして、日本酒(240ml)・にんにく(1かけ)としょうが(1かけ)を加え、2〜3分加熱して香りを立たせます。
水と日本酒の配合比率は、10:3。
日本酒は少し多めに使うので、大人向けの味に仕上がります。
また、にんにくとしょうがは皮をむき、切らずに丸ごと使い、ほんのりと香り付けします。
2〜3分経ったら、あとは、豚肉とほうれん草をしゃぶしゃぶして、レモン醤油を付けて食べるだけです。
食べ方は、お好みでいろいろ試してみてください。
このお鍋は、豚肉をしゃぶしゃぶすることで脂っぽさが抑えられて、食べやすさがぐっとアップします。
1人前200gの豚肉を使うのでそこそこの量がありますが、しつこくないので、わりとペロッと食べられます。
また、ほうれん草は、切らずに茎ごとワイルドに食べる感じですが、軽く湯がくだけですぐに柔らかくなります。
ほうれん草の味はかなり濃厚。
ほうれん草の本来の味を存分に楽しめます。
また、豚肉とほうれん草は、どちらもレモン醤油と良く合いますよ。
ほうれん草のシュウ酸(アク)について
なお、ほうれん草にはシュウ酸というあくがあるので、あらかじめ下茹でして使うのが一般的です。
今回のお料理は生のほうれん草をしゃぶしゃぶして食べるレシピになっていますが、ごくたまに食べる程度であれば、シュウ酸の過剰摂取にはつながらないですし、ほうれん草の栄養もしっかり摂れるので、あまり気にする必要はないと思います。
しめの作り方
【工程4】
しめは、うどんにしました。
まず、残った汁の中にゆでうどん(1〜2玉)を入れ、卵(2個)を割り入れます。
お好みで、残った豚肉とほうれん草を加えてもいいです。
そして、うどんと卵の水気を切って器に入れ、刻みねぎ・天かす(各適量)をのせ、醤油(適量)をかけ・七味唐辛子(好みで適量)を振ったら完成です。
今回のお料理は、鍋の具材がシンプルなので、卵・天かす・ねぎなどの具材をプラスして、満足度の高いシメにしてみました。
醤油だけの味付けですが、こちらも美味しくいただけます。
最後に、向田流の常夜鍋の作り方を、向田さんの「夜中の薔薇」という作品の中から引用してご紹介します。
材料は豚ロースをしゃぶしゃぶ用に切ってもらう。これは、薄ければ薄いほうがおいしい。
透かして新聞が読めるくらい薄く切ったのを一人二百グラムは用意する。食べ盛りの若い男の子だったら、三百グラムはいる。
それにほうれん草を二人で一把。
まず大きい鍋に湯を沸かす。
沸いてきたら、湯の量の三割ほどの酒を入れる。これは日本酒の辛口がいい。できたら特級酒のほうがおいしい。
そこへ、皮をむいたにんにくを一かけ。その倍量の皮をむいたしょうがを、丸のままほうりこむ。
二、三分たつと、いい匂いがしてくる。
そこへ豚肉を各自が一枚ずつ入れ、箸で泳がすようにして(ただし牛肉のしゃぶしゃぶより多少火のとおりを丁寧に)、レモン醬油で食べる。それだけである。
レモン醬油なんぞと書くと、これまた大げさだが、ただの醬油にレモンをしぼりこんだだけのこと。はじめのうちは少し辛めなので、レンゲで鍋の中の汁をとり、すこし薄めてつけるとおいしい。
ひとわたり肉を食べ、アクをすくってから、ほうれん草を入れる。
このほうれん草も、包丁で細かに切ったりせず、ひげ根だけをとったら、あとは手で二つに千切り、そのままほうりこむ。これも、さっと煮上がったところでやはりレモン醬油でいただく。
豆腐を入れてもおいしいことはおいしいが、私は、豚肉とほうれん草。これだけのほうが好きだ。
あとにのこった肉のだしの出たつゆに小鉢に残ったレモン醬油をたらし、スープにして飲むと、体があたたまっておいしい。
とても簡単に作れますので、ぜひお試しください。
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