
製菓用の米粉を、最近普通のスーパーでもよく見かけるようになりました。米粉を使った洋菓子やパンが、皆に認められている証拠でしょうか。
私は数年前に初めて製菓用米粉を使ったパンづくりに挑戦したのですが、出来上がったパンにがっかりして、その後パンづくりには米粉を使わなくなりました。
一般的な小麦粉のパンとくらべると、製菓用米粉だけでつくったパンは、あまりふっくらとしません。
小麦粉にはグルテンというタンパク質が含まれていて、それに水を加えてこねることで粘性が生まれ、さらにそれに酵母が関わることでパンはふっくらと膨らみます。
でも米粉には、このグルテンがないため、一般的なパンのようにふっくらとは膨らまないんです。

ところが先日、製菓用米粉の売り場の隣に「小麦グルテンの粉」が並んでいるのを発見しました。「グルテン粉」は、小麦粉からグルテンを抽出して粉状にしたものです。
グルテン粉を加えて米粉パンをつくったら、ふっくらとした美味しいパンができるかな?そう思い、さっそく購入して試してみました。
レシピとできあがりの感想をお伝えします。また合わせて、小麦粉からグルテンを抽出する方法もご紹介します。
小麦粉からグルテンを抽出する方法

これが購入した「グルテン粉」です。写真では白っぽく見えますが、実際は淡いグレーの粉です。
レシピをお伝えする前に、小麦粉からグルテンを抽出する方法をご紹介します。自宅で簡単にできます。ただし、上の商品のようなパウダー状にするのは無理ですけどね。
まず、小麦粉に水を加えてしばらくこねます。水の量は適当でかまいません。その際に、グルテンの形成を助けるため、少量の塩を加えます。塩の量はパンを焼く時に入れるくらいでOKです。
生地がまとまったら、今度はこれを、水がたっぷりと入ったボールの中に入れて、もみ洗いします。パン生地をもみ洗いするって、なかなか新鮮な体験ですよ。
水が白く濁ったら、ボールの中の水をかえて、さらにもみ洗いします。途中で「こんなことしていいのかな?」と心配になるかもしれませんが、いいんです。この通りに続けてください。
さて、水をかえて揉んでいるうちに、手の中に残るブヨブヨしたものがあるはずです。実はこれがグルテン。水が白濁しなくなったら、グルテンの抽出完了です。
小麦粉からグルテンを取り出す作業は、ちょっとしたワクワク感があります。子供ウケがとてもいいですよ。
私は以前「グルテンの抽出」をメインテーマにして、料理教室を催したことがあります。教室の最後には、このグルテンを使って「コーフーカツ」をつくりました。
「コーフーカツ」とはマクロビオティックでよくつくられるお料理です。
抽出した小麦グルテンを蒸して、蒸し上がったものをさらにだしや醤油などで煮て、それにフライの衣をつけた揚げ物です。
マクロビオティックでは基本的に動物性の食材を使わないので、この「コーフーカツ」はマクロ流のとんかつと言われています。一般ウケの良いマクロビオティックメニューの1つです。
グルテン粉を使った米粉パンのつくり方

さて、米粉パンの話しに戻ります。
今回米粉にグルテン粉を混ぜてパンをつくったのですが、米粉とグルテン粉の比率は、米粉パン用ミックス粉「シトギミックス」の配合を参考にして4:1にしました。シトギミックスには、あらかじめグルテン粉が20%配合されています。
製菓用米粉 | 200g |
グルテン粉 | 50g |
塩 | 小さじ5/8 |
ブラウンシュガー | 大さじ1 |
ドライイースト | 小さじ2/3 |
ぬるま湯 | 適量 |
- すべての材料をボールに入れ、耳たぶくらいの柔らかさの滑らかな生地になるまでこねる。
- ボールに入れたままラップを張り、35~40度くらいの温度で約40分発酵させる。
- 生地の形を整えてオーブンの天板の上にのせ、ラップをかけて再び35~40度くらいで約20分発酵させる。
- 180度に温めたオーブンで35分焼く。
相変わらず私のパンづくりはテキトーです。でもなんとかパンができました。それはきっと優秀な酵母のおかげでしょう。
ドライイーストの酵母は、パンを膨らませる能力に長けていますね。いい加減な私の性格にも対応してくれる心の広いドライイースト君、本当にありがたいですね。もっちりとしたおいしいパンが出来ました。
出来上がったパンは、米粉100%のパン、つまりグルテンフリーのパンとはまったく違う出来栄えです。この小麦グルテン入りの米粉パンだったら、小麦のパンしか食べたことがない方にも、すんなりと受け入れられるでしょう。
今回私は、製菓用の米粉(100%米粉)にグルテン粉を混ぜてパンをつくりました。
でも、先にご紹介した米粉パン用ミックス粉「シトギミックス」を使えば、あらかじめグルテン粉が入っていますから、これだけで美味しい米粉パンがつくれます。
ぜひお試しください。