銀杏(ぎんなん)の栄養とその効能について解説します。
銀杏は、特にでんぷんの含有量が高く、他には、カリウムやマグネシウムなどのミネラルも豊富です。
また、カロテンやビタミンCなども含まれています。
ただ、その一方で、ビタミンB6の働きを阻害する中毒物質も含まれているので、食べ過ぎには注意が必要です。
銀杏は、栄養摂取を目的としてバクバク食べるものではなく、旬の味を楽しむために少量を食べるものと考えてください。
ぎんなんの栄養
カリウム
生の銀杏100gあたり、カリウムは、710mg含まれています。
例えば、パセリはカリウムが豊富に含まれている野菜ですが、その含有量は1,000mg。
銀杏の場合はそれには及ばないものの、かなり多い部類と言えます。
このカリウムの働きは、厚生労働省のページでは次のように解説されています。
人体に必要なミネラルの一種で、浸透圧の調整などの働きをする。
ナトリウムを排出する作用があるため、塩分の摂り過ぎを調節する上で重要。厚生労働省 e-ヘルスネット(※1)
マグネシウム
マグネシウムは、100gあたり48mgです。
このマグネシウムは、生落花生が断トツに多く、含有量は100mg。
でも、銀杏も十分に多い部類です。
人体に必要なミネラルの一種で、リンやカルシウムとともに骨を形成するほか、体内のさまざまな代謝を助ける機能を持つ。
厚生労働省 e-ヘルスネット(※2)
βカロテン
βカロテンの含有量は少なめです。
100gあたり260μg。
皮つきのにんじんは8,600μgなので、それと比べると、見劣りします。
これらは活性酸素の発生を抑え、取り除く作用を持っています。このため活性酸素の働きで作られる過酸化脂質が引き起こす動脈硬化を予防したり、老化やがんの発生に対しても効果があると考えられます。
厚生労働省 e-ヘルスネット(※3)
ビタミンC
ビタミンCも含まれていますが、特段多いわけではありません。
100gあたり20mgです。
ビタミンCが多く含まれる食材といえば赤ピーマンが有名ですが、赤ピーマンは170mgのビタミンCを含んでいます。
なお、ビタミンCには次のような効果が期待できます。
- 活性酸素の働きやコレステロールの増加を抑える。
- 傷の治癒に必要なコラーゲンの生成を助ける。
- 鉄分の吸収を促し、免疫系の働きを助ける。
銀杏には、これ以外にも、ビタミンB群やビタミンE、たんぱく質や脂質なども含まれています。
なお、銀杏のカロリーは、1粒を2gとすると、1粒あたり約3.4kcalです。
ぎんなんに含まれる毒素
銀杏には「4′-メトキシピリドキシン」という毒性のある成分も含まれています。
銀杏を多く食べ過ぎると、おう吐や下痢、呼吸困難やけいれんなどを引き起こすことがあるので、注意が必要です。
この成分について、東京都福祉保健局のページでは次のように説明されています。
ビタミンB6は、脳内の神経伝達物質の生成に重要な役割を担っています。ギンナンには、ビタミンB6と構造の似た4′-メトキシピリドキシンを含んでおり、摂取するとビタミンB6の働きを阻害し、数時間のうちにビタミンB6欠乏症となり、中毒になると考えられています。
東京都福祉保健局(※4)
また、公益財団法人日本中毒情報センターのページでは、次のように注意喚起されています。
患者は5歳以下の子どもが7割を占め、嘔吐やけいれんがみられた例もあります。茶わん蒸しに入っている程度のギンナンを食べて症状が出現した例は把握していませんが、5歳以下の子どもには食べさせないほうがよいでしょう。
また、大人でも食べ過ぎると中毒を起こすことがありますので、食べ過ぎないように注意しましょう。日本中毒情報センター(※5)
銀杏を料理に使う場合は、これらの面も踏まえつつ、ケースバイケースで判断してください。
※1 厚生労働省 e-ヘルスネット「カリウム」
※2 厚生労働省 e-ヘルスネット「マグネシウム」
※3 厚生労働省 e-ヘルスネット「カロテノイド」
※4 東京都福祉保健局
※5 公益財団法人日本中毒情報センター