
バナナを生のまま日持ちさせる保存方法をご紹介します。
一番のおすすめは冷蔵保存です。
バナナをはじめとする南国のフルーツは、気温の低いところに置くと低温障害で皮が黒くなってしまいます。
そのため、一般的には、冷蔵はNGと言われています。
でも、変わるのは皮の色だけです。
中身に関しては、冷蔵することで、常温に置くよりもずっと長持ちします。
実際、冷蔵庫の野菜室でバナナを保存する方法は、食品保存の専門家もすすめています。
また、バナナの皮の黄色をキープしたい場合は、ラップやビニール袋などを使って冷蔵庫の冷気が直接当たらないようにすると、きれいな見た目が比較的長く保てます。
1本だったらそのままラップをして、複数本だったら新聞紙などに包んだうえでビニール袋に入れて冷蔵保存するといいです。
1房を保存したい場合は、あらかじめ少しバラしておく方が、バナナの重みが一箇所に集中しないので、均一に日持ちしやすくなります。
なお、新聞紙を使う理由は、ビニールの中にこもった湿気の影響をやわらげるためです。

上の写真をご覧ください。
同じくらい熟しているバナナを4本用意して、それらを冷蔵庫の野菜室に1週間保管した後の様子を撮影したものです。
左側の黄色いバナナ2本は、新聞紙に包み、さらにビニール袋に入れて、袋の口を縛ったもの。
写真右の茶色いバナナ2本は、新聞紙に包んだだけのものです。
ビニール袋で覆うだけで、1週間後にはこんなに色の違いが出ます。

バナナの中身に関しては、ラップやビニール袋があってもなくても、それほど違いはありません。
1週間経っても、どちらも買ったばかりに近い状態をキープできています。
とは言え、皮の色もきれいな方が良いでしょうから、冷蔵庫の野菜室に入れる際には、サランラップなどで覆うのがおすすめです。

買ったばかりのヘタがまだ青いバナナをこの方法で冷蔵保存した場合、保存期間は3週間ほどが目安です。
上の写真は、新聞紙で包んでビニール袋に入れて、野菜室で3週間保存したバナナ。
さすがに皮はかなり茶色くなっていますが、中身はまだかたさがあり、十分食べられます。
長期保存する場合は、新聞紙やビニール袋に湿気がこもりやすいので、5日に1回くらい開けて、湿気を逃がすといいですよ。
バナナの保存法として最もおすすめなのは、上でご紹介した「野菜室での冷蔵保存」ですが、それ以外にもいくつかやり方があります。
この記事では、5つの方法を実際に比較検証した結果を踏まえて、バナナの上手な保存方法をおすすめ順にご紹介します。
1位 バナナを冷蔵庫の野菜室に入れる

上の写真は、バナナの保存方法5パターンを1週間後に比較した写真です。
一番左の「a」が冷蔵庫の野菜室に入れたバナナで、他の4本は常温に置いたバナナ。
具体的には、左から順に次のような保存方法を試しました。
ちなみに、気温は、1年の中では高め(5月:平均20度くらい)の1週間です。
- 新聞紙に包んで冷蔵庫の野菜室に入れる(ビニール袋には入れない)
- 常温に吊るす
- 常温に置く
- 柄の部分にラップをして常温に置く
- アルミホイルで包んで常温に置く
冷蔵庫の野菜室に入れた「a」のバナナの皮は、常温に置いて熟した他の4本のバナナとは明らかに違い、全体が均一に変色しています。
ただ、常温に置いたバナナも皮が変色しており、「a」のバナナの皮だけが熟しているというわけではありません。
見た目はどれも同じくらい熟しているか、もしくはすでに食べ頃を過ぎてしまっているように見えます。

でも、皮をむいてみると、冷蔵庫に入れたバナナの中身の状態は、他の4本とまったく違いました。
写真では違いが分かりませんが、冷蔵庫に入れたバナナだけは、しっかりとした硬さが残っており、完熟にはほど遠い状態のまま。
冷蔵庫に入れる前の状態とほとんど変わらず、ずば抜けて日持ちが良いことが分かりました。
では、なぜバナナの保存に野菜室が適しているのか。
以前、NHKの「あさイチ」というテレビ番組で、専門家の方がその理由を解説していました。
食品科学の専門家、首都大学東京の東直樹教授によると、バナナは気温が高いと呼吸が活発になり、成長ホルモンである「エチレンガス」が発生しやすくなるそうです。
そして、このエチレンガスには、バナナが熟すのを早める効果があるのだとか。
でも、5〜10度くらいの涼しい場所(冷蔵庫の野菜室など)に保存すると、バナナの呼吸をおさえることができるので、日持ちしやすくなるそうです。
また、冷蔵庫の野菜室だったら、バナナの皮の乾燥も防げるので、そうした点でも理想的とのことです。
このことを踏まえると、気温が5〜10度くらいの季節だったら、常温に置いても日持ちはさほど変わらないということになります。
そのため、そうした涼しい時期には、吊るすなどして常温に置くのがおすすめです。
2位 バナナの柄の部分にラップをする

バナナの保存方法として2番めにおすすめなのは、バナナの柄の部分にラップをする方法です。
これは、TBSテレビの「この差って何ですか?」で話題になった保存方法で、人気果物店「カワムラフルーツ」の川村昌敏さんがすすめる裏ワザです。
ラップの仕方を念のため写真で説明します。
【工程1】
まず、バナナを1本ずつばらします。

これでお終いです。
【工程2】
ちなみに、「柄の部分にラップをしていないバナナ」が近くにあったり、あるいは、りんごやメロンといった「エチレンガスを出す食材」がある場合は、もうひと手間加えます。

このようにバナナにラップをすると、熟し過ぎを防ぐことができるうえに、皮のきれいな黄色を比較的長くキープできます。
こんなことが本当に効くのかと思うかもしれませんが、実際に試してみると違いが良く分かります。
この方法で日持ちがアップする理由にも、先ほどのエチレンガスが関わっています。
バナナの柄の部分をラップで巻くと、バナナがエチレンガスを放出するのをおさえることができます。
さらに、バナナ全体にラップをすると、まわりにあるバナナや他の食品(りんごなど)が出すエチレンガスの吸収もおさえられます。
2段階に分けてラップで包むことで、バナナがエチレンガスに触れにくくなるので、熟し過ぎを防げるというわけです。
ただ、この方法には、注意しなければならない点もあります。
それは、バナナ全体をラップで覆い尽くすと、蒸し暑い季節には、かえって傷みやすくなってしまうということです。
そのため、夏などにこの方法を試す場合は、バナナの柄の部分だけにラップをしたうえで、まわりにエチレンガスを発する食材を置かないのがおすすめです。
あるいは、気温が高い時期にはこの方法自体を避けて、冷蔵庫の野菜室に入れるとより安心です。

また、バナナの柄の部分をラップで包んだうえで、冷蔵庫に入れることもできます。
ただ、その場合は、ビニール袋に入れたりラップで全体を覆ったりしないと、皮の色が変わってしまいますので注意してください。
上の写真は、柄の部分にラップをして冷蔵庫(野菜室)に1週間入れたバナナです。
左側の茶色くなった2本のバナナは、新聞紙で包んだだけ。
右側の黄色い2本のバナナは、新聞紙で包んだ上でビニール袋に入れて口を縛ったものです。
並べると、皮の色がかなり違うことが分かります。
なお、ビニール袋はラップで代用することもできます。
柄の部分にラップをしたうえで、さらに全体をラップで包むと、ビニール袋に入れた場合と同じくらい皮の色は変りません。
3位 バナナを常温に吊るす

上の写真の左から2番めが、吊るしたバナナ(1週間後)です。
見た目では、その右隣りにある常温に置いただけのバナナ(1週間後)との違いはあまり分かりませんが、皮をむいてみると、やはり吊るしたものの方が、少し熟すスピードが遅いことが分かりました。
バナナは寝かして置くと、重みがかかった部分から傷むので、できれば吊るして保存するのが良いようです。
4位 バナナを常温に置く

こちらは、バナナを常温にただ置くだけの方法です。
この保存方法は、気温が5〜10度くらいまでだったら、悪くありません。
すでにお伝えした通り、バナナは重みがかかった部分から傷むので、吊るして置く方がおすすめではあります。
ただ、気温がそれほど高くなければ、バナナの熟し方も比較的ゆるやかなので、ある程度保存がききます。
【NG】 バナナをアルミホイルで覆う

最後にご紹介するのは、バナナをアルミホイルで包む方法(一番右)です。
これは保存方法というわけではなく、バナナを何かで包むということが、気温が高い時にどれほどのデメリットになるかということを示す一例として挙げています。

アルミホイルで包んだバナナ(一番右)は、5パターンの中で最も日持ちしませんでした。
バナナをアルミホイルで包むと、内部に熱がこもって蒸れやすくなります。
暑い季節にはなおさらです。
また、密閉状態になることで、バナナ自体が放出する成長ホルモン「エチレンガス」も充満することになり、追熟がぐんぐん進んでしまいます。
このことは、アルミホイルに限った話しではありません。
バナナをラップで包んだとしても、気温が高い時期に常温に置くと、アルミホイルで包んだ場合と同じくらい蒸れて腐りやすくなります。
ですから、こうした保存方法は避けてください。
以上、バナナの上手な保存方法についてお伝えしました。
バナナが熟し過ぎるのをおさえて劇的に長持ちさせるには、バナナを少しバラしたうえで、新聞紙などで包んでビニール袋に入れ、袋の口を縛って冷蔵庫の野菜室に入れるのが一番おすすめです。
1本だったらラップをして、野菜室に入れてもいいですよ。