麺のスペシャリスト、工学院大学先進工学部教授の山田昌治さんがすすめる、科学的に理にかなった、美味しい蕎麦の作り方(乾麺の茹で方&そばつゆの作り方)をご紹介します。
麺ものを中心に料理の美味しさを研究している山田さんは、科学の力で、料理を名店の味に近づけることができるとおっしゃいます。
名店の味は、奥深いバックグラウンドに裏打ちされた職人芸の世界。そのままを再現するのは難しいとしても、素材の違いや職人の技を科学的に分析することで、それに近い味が再現できるそうです。
(情報元:テレビ朝日「林修の今でしょ!講座」科学の力で家庭料理を名店の味に 2016年3月15日放映)
科学の力で名店の蕎麦を作る
山田さんによると、名店のような美味しい蕎麦を作るポイントは、3つあります。
- 【香りの成分量をキープする】蕎麦を茹でる前に、10分水に浸す。
- 【麺ののどごしを良くする】麺を茹でる時に、サラダ油(大さじ1)を加える。
- 【麺つゆの成分を近づける】麺つゆに昆布を一晩漬け込む。
以上3つのポイントについて、詳しく説明します。
蕎麦を水に浸す
山田さんによると、香りの良い蕎麦を作るには、茹で過ぎないことが大切です。
そばの香り成分「アルデヒド」は、蒸発する物質なので、茹で時間が短ければ短いほど美味しい蕎麦ができます。
そこで、茹で時間を短くする工夫をします。
蕎麦を茹でる前に10分ほど水に浸すと、その間に蕎麦がゆっくり水を吸って、茹で時間を半分程度にしつつ、ほど良い硬さに茹で上げることができます。
サラダ油を加えて蕎麦を茹でる
2つめのポイントは、蕎麦を茹でる際に、サラダ油を大さじ1程度加えること。
山田さんによると、たったこれだけの手間で、蕎麦ののどごしが良くなります。
サラダ油を加えて茹でると、蕎麦の表面がデンプンと油が結合した状態になるためです。
麺つゆに昆布を一晩漬け込む
3つめのポイントは、麺つゆを美味しくする方法です。
昆布を加えるだけで、いつもの麺つゆが、名店の味に近づきます。
手順は、適量の水で薄めた麺つゆ1人分に、3×6センチ程度の昆布を1枚加え、冷蔵庫で一晩寝かせるだけ。
昆布の旨味をゆっくりと麺つゆに溶けこませると、風味がグッと良くなります。
さて以上3つのポイントを踏まえ、山田さんの蕎麦のレシピをまとめると、次のようになります。
科学の力を使った蕎麦のレシピ
山田さんがすすめる、科学的に理にかなった、美味しい蕎麦の作り方です。
ちなみにこのレシピは、スーパーなどで売られている一束80円程度の安い蕎麦を使っても、仕上がりの味の違いが実感できます。
- 麺つゆに適量の水を加え、1人分につき3×6センチ程度の昆布を1枚加え、冷蔵庫で一晩寝かせる。
- 蕎麦を水に10分浸す。
- 鍋に湯を沸かし、サラダ油を加え、蕎麦を茹でる。茹で時間は、通常の半分にする。
- 茹で上がった蕎麦を流水で洗い、ぬめりを落とす。
蕎麦を皿に盛り、好みで刻み海苔・ネギ・ワサビなどを添える。麺つゆをつけていただく。
このように調理すると、安い乾麺や市販のめんつゆからは想像できないくらい味に深みのある、美味しいそばが出来ます。
食感もしっかりしていて、食べ応えがありますよ。
画像引用元:DSCF2987 by M Murakami