水島弘史シェフの科学的にも理にかなったステーキの焼き方。

投稿日:2015年4月29日 更新日:

林修の今でしょ!講座 水島弘史のステーキ

フレンチのシェフ・水島弘史さんがすすめる、上手なステーキの焼き方をご紹介します。

水島さんは、科学的な視点に基づいた「低温調理法」を家庭料理にいかす方法を提案している方で、料理本などでそのノウハウを紹介しています。

私はそのうちの何冊かを読んだことがありますが、どれも料理の常識を覆す斬新な内容になっています。
主に肉を焼く時などに、私は、水島さんの著書から得た知識を活かしています。ジューシーで美味しく仕上がるので、水島流の肉の焼き方がとても気に入っています。

ちなみに水島さんは料理教室「水島弘史の料理教室」を主催していますが、この教室は、予約がたった2分で埋まってしまうほど人気があるそうです。

さてステーキの焼き方ですが、水島さんによると、5つのポイントをおさえるだけで、特売品の安い肉も、高級ステーキのように美味しくなるそうです。

(一部情報元:テレビ朝日「林修の今でしょ!講座」科学で料理がこんなに美味しくなる 2015年4月28日放映)

水島シェフが教えるステーキの焼き方

水島弘史のステーキ

高級な牛肉でつくったステーキは、身が柔らかくてジューシー。香りも高く、とても美味しいものです。
一方の安い肉は、固くて香りや水分に乏しいことが多いですよね。

これからご紹介するのは、こうした安い肉の欠点を補ったステーキの焼き方です。

水島さんによると、科学的にも理にかなった焼き方をすることで、100g300円の特売の肉を100g3,000円の高級肉に変えることができるそうです。

なおステーキ肉は、霜降りとくらべて旨み成分のアミノ酸が多く含まれる、赤身のヒレ肉を使います。

赤身は霜降り肉にくらべて焼くのがとても難しいそうですが、科学的調理法で旨みをしっかり閉じ込められれば、特売の赤身肉でも、驚くほど美味しいステーキに焼きあがるそうですよ。

ステーキを上手に焼く5つのポイント

さて、水島さんがすすめる科学的なステーキの焼き方は、一般的なステーキの焼き方とはまったく異なります。

まず生肉の状態で塩・コショウはしません。塩は焼いている途中で、またコショウは完全に焼きあがってから振ります。
そして強火で焼かずに、低温のオーブンでじっくり焼いてから、仕上げにフライパンでこんがりと焼きます。
さらに焼き上がりはすぐに食べずに、しばらく休ませます。

ステーキを上手に焼くポイント5つをまとめると、次のようになります。

ステーキを上手に焼くための5つのポイント
  1. 和牛の牛脂を肉の両面に貼り付ける。
  2. サラダ油に浸したキッチンペーパーで肉を包む。
  3. フライパンで焼く前に、低温のオーブンで焼く。
  4. オーブンで焼いたあとに塩をする。
  5. 完全に焼きあがったらアルミホイルに包み、肉をしばらく休ませる。

上の5つのポイントについての水島さんの説明をまとめると、次のようになります。

なおこれらをもとにおこしたレシピは、その後に記しました。

肉の表面に牛脂をのせる

安い肉の乏しい香りを補うために、下準備の段階で和牛の牛脂を使います。

和牛の牛脂には、「ラクトン」という牛肉独特の良い香り成分が多く含まれています。ですから、その牛脂を肉の両面に貼り付けることで、良い香りを移します。

1センチくらいの厚さに切った牛脂を、肉の両面それぞれが7割くらい埋まるように並べ、牛脂が肉に貼り付いているような感じにします。

サラダ油に浸したキッチンペーパーで肉を包む

さらに安い肉のアクやくさみを取り除くため、牛脂をつけた肉を、サラダ油に浸したキッチンペーパーで包みます。

油の量は、けっこうたっぷりめ。
キッチンペーパー1枚につき、100mlもの油を使います。キッチンペーパーに油をかけて、手で油を馴染ませてから、肉をしっかり包み込みます。

油の量は多すぎるように感じますが、水島さんによると、これくらいの量を使わないと、安い肉の臭みは取れないそうです。
なお肉の表面についた油は、肉を焼くことできれいに無くなるそうですから、安心してください。

低温のオーブンで焼く

水島さんによると、柔らかい食感のステーキに仕上げるには、低温でじっくり加熱する必要があります。
肉は急激な温度変化にさらしてしまうと、水分や旨みが出て行ってしまうからだそうです。

そうした点から、フライパンの上に生肉を直にのせて焼くのはNG。肉の温度が上昇しやすいですよね。
そこでフライパンで焼く前に少々時間をかけ、低温のオーブンで、じわじわと肉に火を通してしまいます。
ちなみに一旦中まで火を通してしまうと、肉は、その後あまり固くはならないようです。

このようにオーブンとフライパンという2段階で加熱をすると、普通の人でも失敗することなく、ジューシーにステーキを焼き上げることができるそうです。

なおオーブンで焼く際には、肉の下面が熱くなり過ぎないように、皿などの上に網をのせ、さらにその上に肉をのせると良いようです。肉はキッチンペーパーで包んだ状態で、そのままオーブンに入れます。

120度に温めたオーブンで15分焼き、裏返してさらに10分。合計25分ほどじっくり時間をかけて焼きます。
焼き上がりは、肉のまわりが薄っすらと白くなる程度。でもこれで十分だそうです。

オーブンで焼いたあとに塩をする

ところで、ステーキを焼く際には生肉に塩を振るという方は多いと思いますが、生肉に塩をしてしまうと肉の水分が出てしまうそうです。
そのため塩は、オーブンで肉を焼いたあとに振ります。

塩の量は、肉の重量の0.8%。
ちなみに0.8%は、人間の体内の塩分量と同じ濃度で、人が最も美味しいと感じる塩加減だそうです。

さて塩をふったらいよいよ、フライパンで肉を香ばしく焼き上げます。
温めたフライパンに牛脂の油を引き、片面を30秒ほど焼き色がつくまで焼き、ひっくり返してさらに裏面はさっと焼きます。肉の両面に軽く焼き色がつけばOKです。

そしてフライパンで焼き上げた後に、コショウをふります。
コショウは清涼感や香りがとても大事。でも焼く前にコショウをすると、焦げて苦みが多く出てしまいます。ですから、肉の余熱を活かして、コショウの風味を引き出します。

焼きあがったらアルミホイルに包み、肉をしばらく休ませる

肉が焼き上がりました。
すぐにでも食べたいところですが、ここでもう少々我慢してしばらく肉を休ませると、できあがりのジューシーさがダンゼン違ってくるそうです。

焼きたてアツアツの肉は、アルミホイルですぐにぴったりと包みます。このようにしてしばらく置くと、肉の温度が下がり、肉の中の水分が落ち着くため、切っても肉汁が溢れ出すことはないそうです。

水島シェフのステーキのレシピ

さて以上の5つのポイントをまとめると、下のようなレシピになります。

なおステーキソースは、赤ワインとみりんという意外な調味料の組み合わせで作ると、美味しいとのこと。
甘みが足りない赤ワインにみりんを加えると、科学的に最高のステーキソースになるそうですよ。

ステーキソースを作る際には、赤ワインやみりんの水分と、最後に加えるバターの脂分を、限りなく均等に混ぜ合わせる(乳化させる)必要があります。
そうすると、まろやかなとびきり美味しいソースができるそうです。

材料
赤身のヒレ肉 1枚
サラダ油 100ml
牛脂 適量
肉の重量の0.8%
コショウ 少々
キッチンペーパー 1枚
ステーキソース
赤ワイン 30g
みりん 20g
0.4g
バター 20gくらい(※)

※情報元のテレビ番組では、バターの分量についての説明がありませんでした。20gというのは、あくまでもテレビの映像をもとに私が推測した量です。

私の記憶では、水島さんはステーキソースのレシピを著書で紹介していません。そのため実際に使われたバターの量は、水島さんに直接伺うか、テレビの映像から察するしかありません。

作り方
  1. ステーキ肉の両面に、1センチくらいの厚さに切った牛脂を貼り付ける。
  2. キッチンペーパーにサラダ油をかけ、油をしっかり馴染ませる。このキッチンペーパーで、1の牛脂を貼り付けた肉を包む。
  3. 120度に温めたオーブンで、キッチンペーパーに包んだ状態の肉を15分焼き、そのまま裏返してさらに10分焼く。
  4. 【ソースを作る】ワインとみりんを小鍋に入れて煮詰め、とろみが出たら塩を加える。
    さらにバターをひとかたまりの状態で鍋に入れ、鍋を傾けてバターを鍋の端に寄せる。
    ワイン&みりんを泡だて器で撹拌しながら、水分と脂分をなるべく均等に混ぜるようなイメージで、バターの脂分を少しずつワイン&みりんの中に溶かしこむ。
    完全にバターが溶けたら、ステーキソースの完成。
  5. 3の肉に重量の8%の塩をする。
    温めたフライパンに牛脂のアブラを引き、肉の片面を30秒ほど焼く。さらにひっくり返して、もう片面にさっと焼き色をつける。
  6. 焼きあがったばかりのアツアツの肉を、アルミホイルでぴったり包んでしばらく置いたらできあがり。

出来上がったステーキは、切り口が美しいロゼ色。切っても肉汁が出ることはありません。
食感はとても柔らかく、深い味わいのステーキに仕上がるそうです。

またソースは、鮮やかなワイン色。ワインのコクやバターの香ばしさが感じられるそうです。

情報元のテレビ番組で試食した方は、「こんなに旨いんだったら、特売肉の方がいい」と、焼きあがったステーキの美味しさを語っていました。

ところでステーキの上手な焼き方は、水島さんの著書「水島シェフのロジカルクッキング――1ヵ月でプロ級の腕になる31の成功法則」や「強火をやめると、誰でも料理がうまくなる! (講談社+α文庫)」に詳しい解説があります。
合わせて参考にしてください。

【追記】このステーキのレシピを試したという方から、当サイトあてにメールをいただきました。
レシピ通りに作ると、ステーキが硬めのウエルダンになってしまうとのこと。
使用する牛肉の大きさによって出来上がりは変わってくるとは思いますが、このレシピをもとにステーキを焼く時はオーブンの温度設定や焼き時間などを様子を見て調整してみてください。

※水島さんのレシピは「親子丼」や「冷製パスタ」や「だし巻き卵」がおすすめです。

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