たけのこ(筍・竹の子)のあく抜きなど、下処理の方法を解説します。
水煮にする際の下ごしらえのやり方や、茹で方・茹で時間についてです。
たけのこは、掘ってから時間が経てば経つほど、えぐみや苦味がでてきて食べにくくなります。
掘りたての新鮮なものであればあく抜きしないで使うことができますが、スーパーで買ったものなど、収穫してから時間が経ったたけのこは、あく抜きしてから使うのがおすすめです。
また、入手してからすぐに食べないのであれば、できるだけ早めにあく抜きをする方が美味しくいただけます。
たけのこのアクは、「シュウ酸」や「ホモゲンチジン酸」という成分ですが、これらは水に溶けるので、シンプルに茹でるだけでも、かなりアクが抜けます。
普通に茹でるだけであく抜きを済ませる方もいらっしゃるくらいです。
ただ、アクの感じ方は人それぞれですし、たけのこによってはアクがかなり強いこともあります。
そのため、この記事では、たけのこのエグミや苦味に敏感な方でも食べやすい、より丁寧な下茹での方法を解説します。
あく抜きのやり方は簡単で、必要なものは、たけのこの他に米ぬかだけ。
米ぬかがない場合は、米のとぎ汁でも代用できます。
また、お好みで唐辛子を加えるのもありです。
唐辛子に関しては、すこし効果が分かりづらく、気休め程度にしかなりませんが、たけのこのエグみが取れて、なおかつ防腐効果もあると言われています。
材料
生たけのこ | 1本(600〜800g)※ |
米ぬか | 20g(ひとつかみ) |
赤唐辛子 | 好みで1本 |
- たけのこの量を増やして2本・3本にする場合は、米ぬかの量も2倍・3倍にします。
下処理(下ごしらえ)
- 汚れた皮を
取り除く
- 綺麗に洗う
- ① たけのこの外側の皮が汚れていれば、それを取り除きます。
きれいに洗います。
表面の皮が汚れていて使えなそうな場合に限り、1〜2枚取り除いてください。
すべてきれいだったら、そのまま使えます。
- 根元を
切り落とす
- ぶつぶつを
削ぎ落とす
- ② たけのこの根元の汚れた硬い部分を、少し切り落とします。
根元にぶつぶつとした部分(赤や黒の斑点)がある場合は、包丁で削ぎ落とします。
ぶつぶつは削ぎ落とす
根元のぶつぶつとした部分は、エグミや苦味が強くて食感もかたいので、あらかじめ取り除いてから茹でます。
ちなみに、このぶつぶつは、掘りたてだったら実と同じような色をしていますが、日光に少し当たると赤くなり、さらに時間が経つと黒くなります。
赤や黒に変色していないものを選ぶのがおすすめですが、市販のたけのこだと、わりと新鮮なものでも、赤いぶつぶつがある場合が多いです。
- 先端を切り落とす
- 切れ目を入れる
- ③ たけのこの先端の皮の部分を、斜めに切り落とします。
その切り口から根元に向かって、「皮の下の実の部分」に到達する程度の深さ(深さ2センチ程度)の切り込みを入れます。
先端の切り落とし方
たけのこは少し反り返った形状をしていることが多いので、先端を切り落とす際には、下の写真のような向きで切るのがおすすめです。
反っている外側が上で、内側が下になるように、斜めに包丁を入れます。
切り込みの深さ
たけのこの実の部分は、根元にいくほど太くなります。
そのため、切り込みの深さは、穂先の方だと2〜3センチくらいになりますが、根元にいくにつれて、だんだんと浅くします。
切れ目を入れて皮ごと茹でる
たけのこは、皮ごと茹でるのが基本です。
たけのこを皮付きのまま茹でると、中身に火が通るまで少し時間をかかるので、その分、アクが抜けやすくなります。
また、たけのこは水分が抜けるとパサッとしがちですが、皮ごと加熱することで、しっとりと茹で上げることができます。
皮ごと茹でる際には、皮に少し切れ目を入れるのがポイントで、そうすると、実の部分に適度に火が入ります。
茹で方
- ④ たけのこを鍋に入れ、米ぬか(20g)と赤唐辛子(好みで1本:種を取り除いたもの)を加えて、かぶるくらいの水を注ぎます。
米ぬかについて
米ぬかには、次の3つの効果が期待できます。
1つめは、米ぬかに含まれている酵素の働きによってたけのこの細胞が柔らかくなり、アクが溶け出しやすくなること。
2つめは、アクのもとになっている「シュウ酸」を米ぬかが吸着してくれること。
3つめは、米ぬかの風味が加わることで、たけのこのエグミが和らぎ、甘みを感じやすくなることです。
米ぬかなしの場合
米ぬかがない場合は、米の研ぎ汁でも似たような効果が得られます。
米ぬかの方が風味が強めなので、その分エグミをやや感じにくくなりますが、研ぎ汁でも十分効果はあります。
研ぎ汁は、たけのこ1本につき、米3合分くらいあるといいです。
圧力鍋よりも普通の鍋がおすすめ
ちなみに、たけのこを茹でる際に圧力鍋を使うという方法もありますが、このやり方はあまりおすすめしません。
圧力鍋を使うと短時間でたけのこが柔らかくなるものの、逆に加熱時間が短すぎて、たけのこのあく抜きが不十分になりがちです。
たけのこをあく抜きする際には、時短ということにはあまりこだわらずに、じっくり鍋で茹でる方が美味しく仕上がります。
- ⑤ 水を注いだら、落し蓋をして強火にかけます。
沸騰したら火を弱めて、竹串がすっと通るまで、1時間ほど茹でます。
途中で2〜3回ほど落し蓋を取り、たけのこを回転させて均一に火を通します。
(茹でている間は、たけのこが湯に完全に浸った状態をキープします。
茹で汁が少なくなったら、湯を注ぎ足してください。)
たけのこの茹で時間
茹で時間は、中サイズのたけのこ(1本:600〜800g)で1時間ほどです。
標準よりも小さかったり大きかったりする場合は、様子を見ながら、竹串がすっと通るまで茹でてください。
なお、鍋に入り切る量であれば、たけのこは、2本でも3本でも一度に茹でることができます。
その際には、米ぬかの量も2倍・3倍に増やします。
落し蓋について
落し蓋は、できれば、少し重みのあるものを使う方がいいです。
たけのこは、そのままだと湯に浮いてしまいますが、落し蓋をして湯にしっかりと沈めれば、全体に均一に火が通りやすくなります。
こうした軽い落し蓋を使う場合は、たけのこが湯に浮いた状態になるので、たけのこの上下を返すことを忘れずに、まんべんなく火を通してください。
参考:落し蓋の作り方
ちなみに、たけのこ1本を茹でる場合は、少し重みのある蓋を乗せると、すぐに傾いてしまって落し蓋にならないということがあると思います。
- ⑥ 竹串がすっと通るくらい柔らかくなったら、火を止めて、そのまま冷まします。
茹で汁に浸したまま冷ます
茹で上がったたけのこは、すぐに取り出さずに、茹で汁に浸したまま冷まします。
そうすると、たけのこのアクがさらに抜けやすくなります。
- 皮を少しづつ剥く
- 白っぽい部分まで
皮を剥く
- ⑦ たけのこを鍋から取り出して、軽く水洗いします。
表面の切れ目に指を入れ、皮を少しずつ剥きます。
穂先まで白っぽくなっている部分に到達したら、そのあたりで皮を剥くのをやめます。
参考:たけのこの皮むき
- 先端を切り落とす
- ぶつぶつを削ぐ
- ⑧ 先端に少し硬そうな部分があれば、そこを切り落とします。
根元に残った「硬いぶつぶつの部分」を包丁で削いだら完成です。
姫皮は料理に使う
ちなみに、たけのこの先端部分を覆うように付いていた薄い皮は、「姫皮」と呼ばれています。
和え物だったら、「姫皮の梅おかか和え」がおすすめです。
このようにして茹でることで、アクが抜けて、とても食べやすく仕上がります。
なお、茹でたたけのこは、部位によって柔らかさに違いがあります。
穂先の上部がいちばん柔らかくて、その次が中央、下の部分はそれらと比較すると食感が硬めです。
あまり細かいことを気にせずに、まるっと食べてしまうのもいいとは思います。
水煮の保存方法
- 保存容器に入れる
- 保存袋に入れる
できあがったたけのこの水煮は、すぐに食べるのが一番美味しいですけど、保存することもできます。
日持ちは、冷蔵なら1週間ほど。
冷蔵する際には、保存容器に入れて、かぶるくらいの水を注ぎ、水に浸した状態にしてください。
水に浸さずにラップで包んだ状態で冷蔵することも一応できますが、表面がすぐに乾燥してカピカピになってしまうので、水に浸けた状態での保存が望ましいです。
ただ、水に長く浸ければ浸けるほど、たけのこの味は薄くなってしまうので、早めに使い切るのがおすすめです。
味が薄まるのを少しでも抑えたい場合は、たけのこを保存袋に入れて水を加え、中の空気をしっかりと抜くという方法もあります。
容器に入れるよりも使用する水が少なくて済むので、味がやや薄まりにくくなります。
以上、たけのこのアクの取り方についてお伝えしました。
たけのこに限らず、植物に含まれているアクは、エグみや苦味の原因となる成分です。
そのため、それらを取り除くのは必要なことではあります。
ただその一方で、あまりやりすぎるのも控えたほうがいいと思います。
アクと風味は、表裏一体のもの。
あまりに長時間あく抜きしすぎると、せっかくの素材の味が損なわれてしまうこともあります。
何事も、ほどほどが一番。
今回のやり方で1時間ほど茹でるだけで、じゅうぶんにアクが抜けて、美味しくいただけますよ。
- たけのこのアク抜きには、米ぬかや米の研ぎ汁以外に重曹や酢などが使われることもありますが、それらはあまりおすすめしません。
量の調整が難しく、ニオイが残ったり、必要以上に柔らかくなったりすることがあるので、米ぬかなどを使う方が安心です。
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