「ぶたあえ(豚和え)」は、熊本県天草地方に伝わる郷土料理です。
豚肉の代わりにタコを使う
メニュー名からすると、豚肉を使ったお料理のように思えますが、お肉は一切使っていません。
豚肉がまだ高価だった時代に、天草地方でよく捕れたタコを豚肉の代用品として使ったのが始まりと言われています。
たこと野菜を軽く炒め、甘辛い味噌で味付けしたらできあがり。
野菜は、なすが最もよく使われます。
この「ぶたあえ」は、旅行者が天草を訪れても、なかなか食べられる機会はありません。
地元ではとても家庭料理の色が強いメニューで、それぞれのおうちで作って食べるのが一般的です。
消えつつある天草の郷土料理
ただ、そんな「ぶたあえ」も、最近ではあまり作られなくなっているのだとか。
私に「ぶたあえ」を作ってくださった地元のタコ名人に伺ったところ、天草ではたこがあまりに捕れすぎて二束三文だった時代もありましたが、最近ではたこの漁獲量が減って比較的高価な食材になっており、そうしたことも影響しているのではないかと仰っていました。
また、この「ぶたあえ」は、天草での知名度はそれなりに高いものの、それ以外の地域では意外と知られていません。
実際、天草以外の熊本県内でこの料理について訪ねても、ご存知の方はほとんどいらっしゃいませんでした。
熊本市にある人気郷土料理店のスタッフさんでさえ、知らないとおっしゃっていました。
こうした点から考えると、天草の「ぶたあえ」は、消えつつある郷土料理の1つなのかもしれません。
ぶたあえのシンプルレシピ
とは言え、ご飯とよく合いとても美味しいですし、さらに言えば、たこ料理なのに「ぶたあえ」という独特なネーミングも印象的です。
そこでこの記事では、たことなすを使った、シンプルな「ぶたあえ」のレシピをご紹介します。
材料
茹でだこ | 100g |
なす | 200g(2本) |
サラダ油 | 大さじ1と1/2 |
塩 | 好みで少々 |
おろし生姜 | 小さじ2/3 |
砂糖 | 小さじ2 |
味噌 | 大さじ1 |
醤油 | 小さじ1/2 |
酒 | 小さじ1/2 |
一味唐辛子 | 好みで少々 |
美味しく作るコツは2つあります。
1つめは、タコにあらかじめ調味料を混ぜておくこと。
2つめは、タコを加熱し過ぎないことです。
作り方
まず、茹でだこ(100g)の水気をキッチンペーパーで拭き取り、1センチ幅の輪切りにします。
そして、それをさらに1.5センチくらいの大きさに切り分けます。
たこは、あまり大きすぎると味が絡みにくいので、やや小さめに切ります。
次に、タコをボールに入れ、材料Aを加えます。
材料Aは、おろし生姜(小さじ2/3)・砂糖(小さじ2)・味噌(大さじ1)・醤油(小さじ1/2)・酒(小さじ1/2)・一味唐辛子(好みで少々)です。
ちなみに、味噌は、本場「天草」では、少し甘めの麦味噌がよく使われます。
そして、よく混ぜて、なすが焼き終わるまでそのまま置きます。
たこに調味料を混ぜておく
たことなすを炒めたあとに味付けすると、たこに味が馴染みにくいのですが、あらかじめ調味料を混ぜておくと、一体感が出やすくなります。
続いて、なす(200g:2本)のヘタを取り、1.5〜2センチ角に切ります。
なすは、たこよりも少し大きめに切ります。
なすとサラダ油(大さじ1と1/2)をフライパンに入れ、よく混ぜて火にかけます。
そして、なすをたまに返しながら、中火〜弱めの中火で4〜5分ほどかけてこんがりと焼きます。
火を弱め、たこを調味料ごと加えて軽く混ぜ、お好みで塩(少々)を振ったら完成です。
使用する調味料は、料理の仕上がりが水っぽくならないように、敢えて水気を控えめにしています。
ですから、ボールに残った調味料をヘラなどできれいに掻き出して、たこと一緒に加えてみてください。
たこは軽く温める
また、たこは加熱し過ぎるとすぐに硬くなるので、火を弱めたうえで、混ぜておいた調味料と一緒に最後に加えます。
そして、軽く温める程度にさっと火を通したら、すぐに火を止めて皿に取り出すといいです。
なお、味付けは、使用する味噌の塩分濃度によって若干変わってきますので、塩気が足りない場合は、最後に塩(少々)で補ってみてください。
たこは、軽く加熱する程度にとどめているので食感は柔らかく、ほど良い弾力が印象的。
なすは、しっとりジューシーな口当たりに仕上がります。
どちらも、味噌ベースの甘辛味との相性が良く、濃厚で風味の良い味を楽しめます。
熊本天草の豚和え
なお、こちらは、天草で旅館を経営されているタコ料理の名人が作ってくださった、いろいろな野菜を使った「ぶたあえ」です。
ぶたあえには、甘辛い味噌味に合うナスが一番よく使われますが、玉ねぎやピーマンやパプリカなど、キッチンにあるものを自由に組み合わせて使っても美味しくできますよ。
ところで当サイトでは、熊本の郷土料理や熊本の観光スポットについて、別記事で詳しく解説しています。
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