生のままいただくにはちょっと水っぽくて残念なリンゴで、パンをつくりました。
まず、リンゴから出る水分だけで煮リンゴをつくります。煮リンゴをさらにピューレ状にして、それだけでパン生地をまとめてみました。
イーストは、パネトーネマザーを使ってみました。パネトーネマザーを使って発酵させると、パンがフルーティーで上品な香りを纏います。リンゴと合わせたらぴったりだと思いました。

ちなみにパネトーネマザーとは、イタリア北部のコモ湖周辺に生息する自然酵母を、400年もかけて種継ぎしてつくった伝統あるパン種です。使いやすいように粉末にしたものが販売されています。
りんごパンの作り方
パネトーネマザーを使って、私は次のようにりんごパンをつくりました。
リンゴ | 2個 |
強力粉 | 270g |
パネトーネマザー | 12g |
塩 | 小さじ1 |
スキムミルク | 6g |
無塩バター | 20g |
- リンゴは皮をむき、縦に8分割する。さらに横に薄くスライスし、ひとつまみの塩(分量外)をする。鍋に入れ、中火で30分煮る。(途中鍋底が焦げないように注意)粗熱をとり、フードプロセッサーでペースト状にする。出来上がり全量のうち、1カップ分のみを使用する。
- リンゴとバター以外の材料すべてをボールに入れ、滑らかな生地になるまで約10分こねる。さらにバターも加え、再度滑らかな生地にする。
- 2のボールにラップをかけて、生地が約3倍に膨らむまで暖かいところに置く。(12月初旬にストーブの前に置いて発酵させたら、約2時間かかりました。)生地を4分割して丸めて、2個ずつ型に入れる。型にラップをして、再度暖かいところで約3倍に膨らむまで置く。(ストーブの前で、約1時間でした。)
- 180度に温めたオーブンで25分焼く。
ふっくらと美味しそうに焼けました。
ひと口味見をして驚きました。
というのは、私はこれまでパネトーネマザーではなくドライイーストを使って、同じようなレシピでりんごパンを何度かつくったことがありますが、その時のパンの味とまったく違ったからです。
リンゴを2個も使ったので、自然な甘みがそれなりにあらわれるはずなのに、なぜかそれほど感じません。そして酸味が少ないリンゴを使ったつもりなのに、ほのかな酸味が際立っています。またバターのコッテリとした風味もするはずなのに、いつものようなバターらしさもありません。
でもだからと言って、嫌な感じがするわけではありません。
むしろ私はとても気に入りました。何というか、リンゴやバターの風味が、パン自体の味わいの中に昇華されたような感じがします。調和のとれた上品ですっきりとした味わいが、とても素敵でした。
おそらくこれはパネトーネマザーの特徴なのだと思います。
同じ素材で何回やっても同じ結果になるのか、また他の素材でパンをつくったらどうなるのかは分かりません。でも、私なりにこれまでいろいろなイーストを試した経験からすると、これはパネトーネマザーの力なのだと思います。
ちなみに本場イタリアでつくられるクリスマスの伝統的なお菓子に「パネトーネ」というのがありますが、「パネトーネマザー」は、もともとはこのお菓子専用のイーストだったようです。
そうそう、今回つくったパンは、どこかパネトーネに風味が似ています。
パネトーネマザーに、私はすっかり魅了されてしまいました。