フレンチのシェフ水島弘史さんがすすめる、冷めても美味しい唐揚げの作り方をご紹介します。
水島さんは、科学的な側面から美味しい料理をつくる方法を研究している方で、そうした視点から、たくさんの料理本を執筆しています。

私はそのうちの何冊かを読んだことがありますが、どれも料理の常識を覆す斬新な内容になっています。
主に肉を焼く時などに、私は、水島さんの著書から得た知識を活かしています。ジューシーで美味しく仕上がるので、水島流の肉の焼き方がとても気に入っています。
ちなみに、水島さんは料理教室「水島弘史の料理教室」を主催していますが、この教室は、予約がたった2分で埋まってしまうほど人気があるそうです。
さて、揚げたての唐揚げはジューシーでとても美味しいものですが、冷めてしまうと途端に固くなり、味が落ちてしまいます。
でもこれからご紹介する調理のポイント2つをおさえれば、お弁当にぴったりの冷めても美味しい唐揚げが作れるそうです。
(一部情報元:テレビ朝日「林修の今でしょ!講座」科学で料理がこんなに美味しくなる 2015年4月28日放映)
冷めても美味しいから揚げの作り方
唐揚げはお弁当の人気メニューです。
でも冷めてしまった唐揚げは美味しくないですよね。固くなって食感がパサパサしたり、味が落ちてしまったり。
唐揚げがこのように不味くなってしまう理由は、水分や旨みが知らず知らずのうちに流れ出てしまうからだそうです。
そこで科学の力を使って水分や旨みを徹底的に閉じ込めると、冷めても美味しい唐揚げを作ることができるということです。
さてそのためには、おさえるべきポイントが2つあります。
1つは、鶏肉を揚げる前に茹でる。もう1つは、衣をつける際には、片栗粉を薄くつける。
水島さんによると、これらを守るだけで、冷めても柔らかくジューシーで、しかも衣がベチャッとしない美味しい唐揚げが完成します。
- 鶏肉を揚げる前に茹でる。
- 衣は片栗粉を薄くつける。
これら2つのポイントについての水島さんの説明は、以下の通りです。
なおこの注意点をもとにまとめたレシピは、その後に記しました。
鶏肉を揚げる前に茹でる
唐揚げを作る時、肉を揚げる前に茹でるという方は、あまりいらっしゃらないと思います。
変わった調理法ですね。本当に茹でて良いのか不安になります。
でも水島さんによると、揚げる前に茹でることで、唐揚げは、冷めても柔らかくジューシーな状態をキープするそうです。
肉は急激な温度変化にさらすと、水分や旨みが出てしまう性質があります。
ですから、生の状態を高温の油に入れて揚げてしまうと、美味しい唐揚げができません。
そこで、揚げる前に時間をかけてじわじわと茹でることで、水分や旨みの流出を最小限におさえるのです。一旦加熱した肉は、その後に高温で熱しても、さほど固くはならないそうです。
また下茹でするメリットはもう1つあります。
茹でることで、肉に下味もつけてしまいます。
湯に調味料を加え、肉に味を染み込ませながら加熱します。
衣は片栗粉を薄くつける
また水島さんによると、冷めてもベチャッとしない唐揚げを作るには、衣を薄く均一につける必要があります。
さらに肉に直接まぶす粉は、小麦粉ではなく、片栗粉にします。
小麦粉は水分を抱き込みやすいので、衣がベチャッとする原因になってしまうからだとか。唐揚げには、片栗粉が適しているようです。
さて、片栗粉を肉に薄く均一にまぶすには、ハケを使います。
まず、下ゆでした鶏肉の水気をしっかりと拭き取ります。そしてハケに片栗粉をつけ、塗るのではなく打つようにして、肉の細部にまで片栗粉をつけます。
片栗粉を肉に万遍なく薄く均一につけると、余分な油を肉に染み込ませないバリア効果が働くそうです。
片栗粉をまぶしたら、味つけした衣をつけて180度の油で揚げます。
なお情報元のテレビ番組では、味つけした衣についての説明はありませんでした。
見た目は黄色みがかったドロっとした液体ですが、どのような材料で作られているかは分かりません。
ちなみに水島さんは、著書「水島シェフのロジカルクッキング――1ヵ月でプロ級の腕になる31の成功法則」の中で、次のような8つの食材で作った唐揚げの衣を紹介しています。
薄力粉・片栗粉・サラダ油・醤油・水・溶き卵・すりおろしショウガ・ベーキングパウダーです。詳しくは同著をご覧ください。
手軽に作りたい場合は、味がついた水溶きタイプの唐揚げ粉を使っても良いかもしれません。
揚げる時間は、ほんの少々。
下茹でしたことで肉にはすでに火が通っているので、揚げる目的はあくまでも、衣に美味しそうな色をつけ、サクサクとした食感を出すことにあります。
水島さんの唐揚げのレシピ
さて、以上の調理のポイントをまとめてレシピにすると、次のようになります。
鶏もも肉 | 1枚 |
片栗粉 | 適量 |
味つけした衣(※) | 適量 |
水 | 400g |
塩 | 6g |
醤油 | 大さじ2 |
砂糖 | 12g |
ショウガ | スライス4枚 |
白ネギ | 20g |
※情報元のテレビ番組では、「味つけした衣」についての説明はありませんでした。
映像をもとに私が確認したところ、この衣は、黄色みがかったドロっとした液体でした。
衣を作るヒントになるようなことを本文(衣について記した部分)に書きましたので、参考にしてください。
- 鍋にゆで汁の材料すべてを入れる。白ネギは切らずに20gの塊のまま加える。そこに食べやすい大きさに切った鶏もも肉を入れて点火し、沸騰させないように茹でる。冷ます。
- 1の肉の水気をしっかりと拭き取り、ハケを使って片栗粉を薄く均一にまぶす。
- 2に味つけした衣をつけ、180度に温めた油で、衣がこんがり色づくまで揚げたらできあがり。
このようにすると、冷めてもジューシーで柔らかく、さらに肉の味も、ごく普通に作った唐揚げよりも数段アップしたように感じられるそうです。
また驚くことに衣は、5時間経ってもサクサクした食感が残るようですよ。
なお唐揚げの上手な作り方は、水島さんの著書「水島シェフのロジカルクッキング――1ヵ月でプロ級の腕になる31の成功法則」に載っています。
肉の茹で方や揚げ方が、かなり詳しく解説されていますので、合わせて参考にしてください。
また当サイトでは、水島さんの唐揚げのレシピをあともう1品紹介しています。
「油で煮る サクサクジューシーから揚げ」です。
こちらのレシピは、今回ご紹介した唐揚げと違って、レシピの分量がすべて揃っています。
普通の唐揚げとは一線を画した、格別に美味しい一品が出来るので、超おすすめですよ。